名句6選の作者と背景を紹介!奥深き日本の有名な俳句がここに
公開日:2021.11.08 更新日:2022.12.19
芸能人が自作の句を競い合うTVのバラエティ番組をきっかけに、ここ数年根強い俳句ブームが続いています。
そこで今回の記事では、ブームの今こそ改めて目を向けたい珠玉の名句を6つ選んで、それぞれの作者と句作の背景についてまとめてみました。
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Pokke編集部
有名な俳句と作者と背景を紹介!知っておきたい名句6選
有名な俳句①「古池や蛙飛びこむ水の音」
俳句と言えば真っ先にこの句が浮かぶ、という人も少なくないでしょう。俳聖と称えられる松尾芭蕉(1644-1694)の代表作で、すでに江戸時代から俳句の代名詞として知られた句でもあります。
古池にカエルが飛び込む音が聞こえた、という単純な句ですが、平凡な事象に趣きを見出す着想、カエルではなく池に飛び込む音に光を当てた着想が秀逸です。
さらには池の音を強調することで周りの静けさをイメージさせる手法が、当時の俳壇では相当に斬新だったようです。
有名な俳句②「痩蛙まけるな一茶是れに有り」
同じくカエルを題材にしたこの句は、親しみやすい「一茶調」の作風でファンの多い小林一茶(1763-1828)の代表作の一つです。
一茶は雀やカエル、子供など弱者に対する慈しみを表した句が多いことで知られています。
この句は、一匹のメスガエルを巡ってオス同士がケンカをしている様子を眺めていた一茶が、いかにも弱そうなやせガエルへの哀れみを詠んだとされています。
齢五十を超えるまで結婚できなかった自らの不遇を、やせガエルに重ねて詠んだとの説もあります。
有名な俳句③「春の海ひねもすのたりのたりかな」
芭蕉、一茶と並び称される江戸俳諧の巨匠の一人、与謝蕪村(よさぶそん/1716─1783)の代表作の一つです。
主観的な芭蕉の句に対し、蕪村は写実的で客観的な作風で知られています。諸国を巡り歩いて放浪の旅を続け、晩年は画家としても名を馳せました。
丹後与謝の海を詠んだと言われるこの句は、「のたりのたり」という言葉が麗らかな春の海ののどかさを的確にとらえています。
もの憂い春の日の気分を描いた表現として、今もふと口をついて出るという人が多い句です。
有名な俳句④「梅一輪一輪ほどの暖かさ」
芭蕉の高弟、服部嵐雪(はっとりらんせつ/1654-1707)の代表作の一つです。
下級武士だった嵐雪は遊里通いを常とする不良青年でしたが、武士を捨て芭蕉の門人となってからは柔和な温雅さを特徴とする作風を確立。芭蕉にその才能を高く評価されました。
寒中に咲く一輪の梅にわずかな春の息吹を感じ取ったこの句は、「梅一輪、一輪ほどの…」と区切るのが本来の詠み方ですが、「梅一輪一輪ほどの…」と続けると、一輪ずつ梅が開くにつれて暖かさが増す情景も感じ取れます。
有名な俳句⑤「目には青葉山ほとゝぎすはつ松魚」
江戸前期の俳人である山口素堂(1642-1716)の代表作の一つ。素堂は芭蕉の友人として親交があったとされています。
目に鮮やかに映る「青葉」、鳴き声が美しい「ほととぎす」、おいしい「初鰹」と、視覚・聴覚・味覚を心地よく刺激する言葉が十七文字の中に巧く盛り込まれています。
初夏に江戸っ子が好んだ風物を詠んだこの句が話題になったのがきっかけで、初鰹を食べるのが江戸っ子の間で粋の証となったそうです。
有名な俳句⑥「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」
生涯に20万以上の句を詠んだ正岡子規(1867-1902)の代表作の一つで、芭蕉の「古池や…」と並ぶ俳句の代名詞として知られています。
子規は俳句以外にも、短歌、詩、小説、評論、随筆など多彩な創作活動を行い、34歳で夭折したにも関わらず日本の近代文学に大きな影響を及ぼしました。
法隆寺に立ち寄った際、茶店で一服し柿を食べた途端に鐘が鳴り、その響きに秋を感じたというのがこの句の意味で、子規が法隆寺を訪れた10月26日は「柿の日」に制定されています。
最後に
他にも「閑さや岩にしみ入る蝉の声」(芭蕉)、「我と来て遊べや親のない雀」(一茶)、「菜の花や月は東に日は西に」(蕪村)など、心に沁みる名句は枚挙にいとまがありません。
“世界一短い詩”として海外にも愛好者の多い俳句は、まさに日本が誇る文化遺産の一つと言えるでしょう。
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