ミロにニケ、モナリザ!ルーブル美術館の見どころ作品と入館料・営業時間 - パリ
芸術の都パリ。 そのパリを代表する美術館であるルーブルは世界一の美術館といっても過言ではありません。 総面積6万平方メートルの展示スペースに収蔵品35万点以上の中から3万5千点を展示しています。 毎年800万人以上の入場者が訪れ、名実ともに世界最大級の美術館であり、パリを代表する観光名所です。 とても一日で見つくすことなどできませんが、 この記事ではそんなルーブル美術館のなかでもこれだけは見逃してはいけないという作品をご紹介しましょう。サモトラケのニケ
ナポレオン・ホールから、ドゥノン翼の入り口を通り、階段を上がります。 1階のローマ皇帝の肖像が建ち並ぶ回廊を通り過ぎ、目の前の階段を上ると踊り場に見えてくるのが「サモトラケのニケ」。 エーゲ海の北東にあるギリシャのサモトラケ島で1863年に発見されました。 古代ギリシャが栄えていた当時、サモトラケ島は聖地として数々の偉大な神々に捧げられた神殿が建っていました。 この像は紀元前2世紀に海戦の勝利を記念して造られたと考えられています。 ギリシャ語では勝利のことをニケと言うのでサモトラケのニケと呼ばれています。 両翼を広げた瞬間の姿と風にはためく衣服が写実的にとらえられ、ヘレニズム期に特徴的な派手なポーズは 遠くからでも認識できるような目印となりました。 2014年に行われた修復作業の際に翼と衣服から塗料の跡が見つかり、この像が元々色塗りされていたことが分かりました。
ミロのヴィーナス
踊り場でサモトラケのニケを見たら、階段を下り、古代ギリシャ美術の展示されているシュリー翼へと向かいます。 展示室7の手前で右折すると、正面に見えてくるのが「ミロのヴィーナス」です。 古代ギリシャ人が追究した永遠の美と愛をつかさどる女神です。 ミロのヴィーナスは1820年にミロス島で発見されたことから、ミロスのアフロディーテと呼ばれることもあります。 高さは203cmで発見された当時は台座もありましたが、ルーヴル美術館に運び込まれる際に紛失してしまいました。 台座に書かれていた記述により、紀元前130年頃に活躍していたアンティオキアのアレクサンドロスによる作とされています。 この彫像の上半身が女性の裸体となっていることから、海から生まれた愛と美の女神であるアフロディーテであり、ローマ神話のヴィーナスだということが分かっています。身体を曲げた立体的な構成と、官能的な裸体表現、および美しく整った顔は、永遠の美を追究したヘレニズム期の傑作です。
モナ・リザ
世界で一番有名な絵画とは? こう聞かれたら、多くのひとが「モナ・リザ」と答えるでしょう。 ドゥノン翼2階の展示室6に展示されているこの名画は、レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれました。 ダ・ヴィンチはイタリア人ですが、イタリア・ルネサンスに大きく影響を受けていた当時のフランソワ1世がダ・ヴィンチをフランスに招いたため、彼のいくつかの作品がここルーヴル美術館で見ることができます。 実は「モナ・リザ」の正式名称は別にあります。 「フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リーザ・ゲラルディーニの肖像」が本当の名前。 元々フィレンツェの織物商人である、フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻で、リーザ・ゲラルディーニの姿を描いたものと考えられています。このジョコンドが女性形になるとジョコンダとなり、さらにそれがフランス語化するとジョコンドとなるため、フランス語ではモナ・リザは「ラ・ジョコンド」として知られています。 しかし、実際にはモナ・リザに関する詳細は明らかになっておらず、モデルが誰であったか、この肖像画はどうやって発注されたか、レオナルド・ダ・ヴィンチは製作に実際にどのくらいの期間を要したのかと言った点は、推測の域を出ません。 盗難や損壊事件が相次いで発生したため、モナ・リザは防弾ガラスのケースに収められて展示されています。 実際にモナ・リザの名声が一気に高まったのが、1911年8月21日に起きた盗難事件の時です。 事件発生から2年後にイタリアで見つかり、ルーヴル美術館に返却されました。 現在モナ・リザはルーヴル美術館でもっとも集客力がある所蔵品となっており、毎年およそ600万人の人々がモナ・リザを見るためにルーヴル美術館を訪れています。
ナポレオン1世の戴冠式
モナ・リザのあるドゥノン翼2階の展示室6から、モナ・リザの背後に回り右側に向かった展示室75に、縦6メートル以上横10メートル近くの巨大な油彩画があります。 「ナポレオン1世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」と呼ばれるこの作品は、1804年の12月2日に、パリのノートル・ダム大聖堂で行われたナポレオン1世の戴冠式の様子をナポレオン1世の主席画家であるジャック・ルイ・ダヴィッドが描いたものです。 ダヴィッドは新古典主義に則って、水平軸および垂直軸を意識した構成で本作品を描いています。 総勢150名からなる参列者が視線を中心人物であるナポレオンに向けて見るものの意識をこの歴史的瞬間に集中させるような効果をもたらしています。 後にアメリカの実業家から、複製を描くように注文を受けたので、ダヴィッドは記憶を頼りに二作目を完成させました。 オリジナル版に比べて若干小さくなっている二作目は現在ヴェルサイユ宮殿に飾られています。
民衆を導く自由の女神
ウジェーヌ・ドラクロワによって描かれた「民衆を導く自由の女神」は1830年の7月革命を主題としています。 ドゥノン翼の2階展示室77にあり、モナ・リザの後方を左に曲がった位置にあります。 ロマン主義のドラクロワは本作にバリケードという近代的な主題を取り入れています。 バリケードを乗り越え、最終攻撃を仕掛けようとする群衆がフランスのシンボルであるマリアンヌに導かれています。 フランスの共和制および民主政治を表す代表作として政治的にも文化的にも大きな影響を与えている作品です。 民衆を導く自由の女神は、1999年の「日本におけるフランス年」に貸し出され、東京国立博物館にて一ヶ月間展示されました。本作品は縦2.59メートル、横3.25メートルと大変大きいため、ジャンボジェットと呼ばれたボーイング747型機でも運ぶことができず、エアバスのベルーガという大型貨物機で輸送されました。