この噂は本当!?イギリス料理がまずいと言われる理由を徹底調査
公開日:2021.11.04 更新日:2022.11.08
イギリス旅行を考えているけれど、料理がまずいって噂は本当?と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。世界的にもイギリス料理がまずいという噂は、一種の常識になってしまっています。
しかし、なぜそのように言われているのかご存知でしょうか。もしかしたら、旅行でイギリスに行った時、たまたま美味しい料理を食べる機会がなかっただけかもしれません。
今回の記事では、イギリス旅行を考えている、イギリスの食文化について知りたいと思っている人に向けてその原因を紹介したいと思います。
株式会社MEBUKU
Pokke編集部
1.イギリスの料理がまずいと言われてしまう4つの理由
かつて大英帝国として栄え、現在も世界的人気を誇る王室を持つイギリス。この歴史ある国の料理がまずいと言われる理由について見ていきましょう。
1-1 イギリス料理がまずいと言われる理由①「宗教問題の影響を受けた」
16世紀にヘンリー8世の離婚問題に端を発した、イギリス教会によるローマ教会からの独立。エリザベス1世の時代に、イギリス国教会制度が確立しました。
その後、ピューリタン革命の指導者オリバー・クロムウェルによって王政が廃止され、新興貴族らによる支配が始まりました。彼ら貴族たちは、社会的に大きな力を持ち、あらゆる生活習慣を定義していきます。
飲食に関しては、「暴飲暴食を避け、質素な食事こそジェントルマンの食事である」としました。このことが、イギリスの食文化の発展を遅らせた一因だと言われています。
1-2 イギリス料理がまずいと言われる理由②「フランスとの関係が変化」
中世以来、イギリスの貴族の間ではフランス文化に対する憧れがあったと言われています。貴族たちがフランス人の料理人を雇っていたため、イギリス独自の食文化を発展させる必要がありませんでした。
また、フランス革命やナポレオンによる戦争勃発など、フランスがイギリスの脅威となった時、フランス料理やフランスのマナーが廃止されていきました。
この間に、イギリス料理を発展させる試みもありましたが、戦争終結後にフランス料理が復活したためその必要がなくなりました。
1-3 イギリス料理がまずいと言われる理由③「大きな影響を与えた産業革命」
18世紀にイギリスで始まった産業革命によって、農村部から都市部への人々の移動が急速に進みました。労働者たちは野菜や乳製品などを自給できなくなり、市場や食品店で買い求めるようになります。
その結果、民衆レベルでの伝統料理の断絶が起こりました。同時に、労働者たちの低い所得ではパンやオートミールなど、質素で栄養状態の悪い生活を強いられました。
そんな中で、エネルギーを摂取するために砂糖をたっぷり使った甘い紅茶が飲まれるようになります。この産業革命による急速な人口移動も、イギリス食文化の発展を遅らせた一因だと言われています。
1-4 イギリス料理がまずいと言われる理由④「2つの世界大戦が与えた影響」
20世紀になると、労働者の待遇改善や燃料費の落ち着き、交通手段の発達によって食品の保存技術も拡大しました。手軽に新鮮な食料品が手に入るようになり、同時にたくさんのレシピ本が発売され、食文化の発展が期待されます。
しかし、第一次世界大戦と第二次世界大戦の勃発によって、食糧不足に陥ってしまいます。かつて賑わっていた食卓は、再び産業革命当時の質素で粗悪な料理に逆戻りせざるを得ませんでした。
乾燥野菜や缶詰などの代用品が流行り、料理の質が著しく下がっていきました。これら歴史的な事柄が、イギリス食文化に大きく関わっているのです。
2.他の国とどう違うの?イギリス料理の特徴について
イギリスの伝統的な料理は、素材の味を大切にしているため味付けされていないものが多くあります。昔は、調味料は高級品でたいへん貴重でした。その時代には、調味料を自由に使えるように食卓に並べるのが最高のおもてなしとされていました。
そのため、調理の際はあまり味付けをせず、それは今日でも伝統として残っています。このような理由から、イギリスではシンプルな料理や味付けが好まれるようになりました。
食べる人が卓上で、自分の好きな味に整えながら食事を楽しみます。アフタヌーン・ティーで知られる紅茶にも、イギリス独特の飲み方があります。イギリスでは、一般的に紅茶は濃く入れます。
そして、飲む人がお湯を足して濃さを調節するのです。そうすることで、誰もが自分の好きな濃さで紅茶を楽しめるようになっています。また、イギリスは過去たくさんの植民地を持っていました。
そのため、あらゆる地域の料理が集まった国でもあります。アフリカ料理やインド料理、中華料理なども根付いていて、ちょっと変わったエキゾチックな味も楽しめます。
3.イギリスの代表的な料理、美味しいおすすめ料理14選
イギリスの伝統的なお料理をご紹介します。メインからデザートまで、個性あふれる魅力のメニューを楽しんでください。
3-1 イギリス料理の朝食と言えば「イングリッシュ・ブレックファースト」
ホテルの朝食では、必ず出てくる定番メニューです。豆をトマトで煮込んだもの、ベーコンやソーセージ、選べる卵料理などがワンプレートになっています。
卵料理は、目玉焼き、スクランブルエッグ、オムレツから選ぶことができます。それに、薄くスライスしたトーストが添えられており、量や品数が多いことでも有名です。
お値段も手頃で、パブなどでも気軽に楽しめるボリューム満点のメニューです。
3-2 イギリスのファーストフード「フィッシュアンドチップス」
イギリスといえば、「フィッシュアンドチップス」と言われるほど人気のメニューです。イギリスの国民的ファーストフード、庶民からロイヤルファミリーまでみんなに愛されている、白身魚のフライと、フライドポテトの盛り合わせ。
イギリスでは、揚げたてのフィッシュアンドチップスに塩とモルトビネガーをかけていただくのが主流です。元々は、スペイン系のユダヤ人が始めたメニューだと言われており、パブや屋台などで手軽に楽しめます。
フィッシュアンドチップスは金曜日に食べる人が多いことでも知られています。これは、カトリック教徒が金曜日に肉を食べない習慣があるため、金曜日にフィッシュアンドチップスを食べる習慣が根付いたと言われています。
3-3 インパクトが強い「スターゲージ・パイ」
「星をみつめるパイ」というロマンチックなネーミングとは裏腹な、インパクトのあるフィッシュパイで、イギリス南西部の伝統料理です。イワシやニシン、ホワイトソースで和えた玉ねぎやジャガイモをパイ生地で包んで焼いたものです。
特徴は、パイ生地から魚が星空を見上げるように頭を突き出していることです。その様子から、「スターゲージ・パイ」という名前がついたと言われています。土産話のネタになるおすすめメニューです。
3-4 イギリスの日曜日の定番ランチ「サンデーロースト」
ローストビーフやローストラム、ローストチキンなどローストしたお肉に、茹でた人参やグリンピース、マッシュポテトやフライドポテトなどが添えられています。グレービーソースをかけていただきます。
サンデーローストというネーミングの由来は、日曜のお昼に家族揃ってロースト料理を食べる習慣から来ているそうです。パブやレストランで楽しめる、イギリスのおすすめ料理です。
3-5 美味しいおつまみ「スコッチエッグ」
イギリスで人気のフィンガーフード。下味をつけたひき肉でゆで卵を包み、パン粉をつけてコロッケのように揚げたものです。
冷めても美味しく、軽食やおつまみ感覚で気軽に楽しめます。レストランでは、トマトソースやマスタードソースなどが添えられていますが、そのままでも美味しくいただけます。
3-6 一度はチャレンジしたくなる「ハギス」
スコットランドの伝統料理です。羊の胃袋に、羊の内臓や玉ねぎ、オートミール、ハーブやスパイスを混ぜたものを入れて、茹でたり蒸したりしたものです。
スコットランドでは、スコッチウィスキーのおつまみとして食べられています。味は人によって好みが分かれるようです。旅の思い出話の一つとして、チャレンジしてみたいメニューです。
3-7 「ブラックプディング」
一言であらわすと、ソーセージの一種です。イギリス伝統の料理で、豚の血が入っているため外見が黒く「ブラッド・ソーセージ」とも呼ばれています。
鉄分が豊富で、味はレバーに似ています。イングリッシュ・ブレックファーストに出されることが多く、サラダやソテーにして食べるのがおすすめです。
3-8 スコーンと紅茶のセットメニュー「クリーム・ティー」
イギリスのアフタヌーン・ティーの定番です。スコーンは、イギリスの女の子が母親から一番はじめに習うお菓子と言われています。
シンプルなお菓子で、ジャムに合いますが、イギリスではクロテッドクリームを塗って食べるのが定番です。
イギリス人は、バターより軽く、生クリームよりも重厚でいて後味のさっぱりしたクロテッドクリームが大好きなようです。
「クリーム・ティー」には、必ずこのクロテッドクリームが付いています。落ち着いた観光地の田舎のティールームで、周りの風景を楽しみながらいただくのがおすすめです。
3-9 人気のミートパイ「シェパーズパイ」
人参や玉ねぎなどの野菜に、ラム肉や調味料、ハーブなどを加えたものにマッシュポテトを乗せてオーブンで焼くメニューです。
マッシュポテトをパイ生地の代わりにしたボリュームのあるミートパイの一つです。他にも、牛肉を使ったコテージパイもあり、イギリスではパイ料理がよく食べられています。
3-10 「イングリッシュマフィンサンド」
イングリッシュマフィンは、コーングリッツを表面にまぶした丸いイギリスのパンです。
最近は日本のベーカリーでもよく見かけるようになりました。このマフィンを焼いて半分にカットし、チーズやベーコン、卵などをはさんだものです。
外側はカリッとして香ばしく、とろけるチーズがクセになりそうなメニューです。定番のイングリッシュ・ブレックファーストに飽きて来たら、朝食として食べるのもおすすめです。
3-11 女王のお菓子「ビクトリアスポンジケーキ」
その名のとおり、19世紀のイギリス女王クイーンビクトリアが好んで食したケーキです。
しっとりとしたスポンジ生地に、ラズベリージャムなどを挟んだもので、最近ではバタークリームや生クリームを挟んだものもあります。バラエティー豊かなイギリスらしいスイーツです。
3-12 「スティッキートッフィープディング」
イギリスでは、STPという略称で親しまれている人気のデザート。焦げ茶色のプディングに茶色のトフィーソースがたっぷりとかけられています。
そのままでも、アイスクリームを添えても美味しく、紅茶や日本のほうじ茶にも相性ぴったりです。1970年代に、イギリスの湖水地方にあるホテル・シャロウ・ベイのシェフが作りはじめたプディングと言われています。
1971年に出版されたレシピ本の中に、『スティッキートッフィープディング』がミセス・マーティンという別人のレシピとして掲載されていたことなどから、STPの発祥については諸説が囁かれています。
見た目はこってりとしたプディングですが、一口で甘いキャラメルの香りに包まれて、幸せな気持ちになれるでしょう。
3-13 「ヨークシャー・プディング」
イギリス北部ヨークシャーの家庭料理。プディングという名称とは反対に、スイーツの要素はありません。
一言でいうと「甘くないシュークリームの皮」です。ローストビーフなど、肉料理の付け合わせとして一緒に食べられています。
3-14 「うなぎのゼリー寄せ」
戦争中の食料不足を補うため、安いうなぎをゼリーで嵩増しして作ったと言わています。イギリス伝統料理の一つですが、最近では食べる人が少なくなり、食卓に上がる機会も減ったと言われています。
ぶつ切りのうなぎを煮込んで冷やし固めたもので、日本の魚の煮こごりに似ています。レモン汁をかけていただきますが、見た目にあまり美味しそうには見えませんし、味も賛否両論あります。
せっかくイギリスに来たから、「ちょっと変わった食べ物に挑戦してみたい!」という方におすすめです。
4.まとめ
イギリスといえば紳士の国。歴史的には、フランスのような特有の美食文化の発展はありませんでしたが、イギリス特有の素材を活かしたシンプルな料理が好まれるようになりました。
これが、外国人にとっては物足りなく感じられたのかもしれません。現在では、洗練された料理を提供するレストランも増えて「イギリスの料理はまずい!」という過去のマイナスイメージを払拭しつつあります。
同時に、イギリスにしかないジェントリーのマナーが定着しており、独自のスタイルと雰囲気を醸し出しているイギリスは海外旅行でおすすめしたい国です。
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