二つの異なる宗教が融合した世界遺産メスキータの見どころを紹介
二つの異なる宗教が融合した不思議な空間
世界遺産メスキータは8世紀頃に約200年もかけて造られた世界最大級のイスラム寺院です。
イベリア半島でしかみられない独特の建築様式で建てられており、全く異なる二つの宗教、キリスト教とイスラム教の特徴が見事に調和、融合しています。
世界遺産メスキータで一番有名な光景がこちら。
中に入って最初に目に飛び込んでくるのが、赤と白の二重構造のアーチが美しい幻想的な空間「礼拝の間」です。
別名「円柱の森」とも呼ばれており、まるでヤシの木が並ぶ森のような錯覚を覚えます。
メスキータ内部全体が間接照明を使用していて少し薄暗いので、より幻想的な雰囲気を醸し出しているのでしょう。
このエリアは、西暦785年にアブド・アッラフマーン1世によって最初に建設された部分です。
馬蹄型の二重構造のアーチは赤いレンガと白い石灰岩を組み合わせて造られています。
この構造はメリダにあるローマ時代の水道橋をモデルにしたそうです。
イスラムの人たちの礼拝はカーペットを敷いた床に膝をついて座り、額を地面につけて行います。
ですから、視界に飛び込んでくる壁や天井の装飾に凝っているわけなんですね。
この二重構造のアーチ群は、まさに木々の生い茂る森のようです。
そして、アーチを支える支柱は、一本一本デザインや材質も異なっています。
それはローマや西ゴートといった時代の異なる柱がリサイクルされているためです。
石や大理石の他、「アラバスター」という石を使っている柱もあります。
アラバスターは光を通す素材なので懐中電灯で照らしてみると、透き通るのがよくわかります。
円柱の森から前方へ少し進むと、床にガラスが嵌められた場所があります。
そこから地下のモザイクタイルが見えます。
これはサンビンテ教会の遺跡あと。
メスキータの中で最も古い部分、西ゴートの教会です。
イスラム建築とキリスト教建築の融合をムデハル様式といいます。
これはイベリア半島でしかみられない独特の建築様式です。
イスラムのアーチとキリスト教時代の天井がうまく共存しているのがおわかりいただけるかと思います。
円柱の森から少し歩くと、「ミフラブ」と呼ばれる祈り場にたどり着きます。
細かい装飾が施された、黄金に輝く美しいくぼみ。
手前には柵があり、至近距離までは近づけないようになっています。
これが「ミフラブ」とよばれるイスラム教徒たちのお祈りの場です。
キリスト教でいえば、祭壇にあたります。
イスラム教では、偶像崇拝が禁止されているので、彫刻も何も置かれていません。
ただ、くぼみの中の壁へ向かって祈りを捧げるのみです。
その方角は西。
つまりメッカの方向を示す「くぼみ」が、「ミフラブ」なのです。
馬蹄形アーチには金色のビザンチン模様のモザイクが装飾されており、その周囲にはアラビア文字が刻まれています。
文字は右から左へと進み、「アラーの神よ。」というコーランの一部が書かれています。
柵から少し身を乗り出して、天井を見上げると、「マスクラ」と呼ばれる空間が広がっています。
金と青で装飾された八角形のドーム型天井です。
よく見ると、草花やコーランの文字がびっしりと刻まれています。
窓から優しい自然光が差し込む設計により、さらに美しくみえる効果が加わっています。
ここはメスキータの拡張部分のつきあたりです。
この先にはグアダル・キビール川が流れているため、これより先に増築をすることが出来ませんでした。
ですから、この部分から横、つまり左側の方へ拡張していったわけです。
この先、左手の方へ進んでいくと、宝物殿があります。
ここはキリスト教徒のための「サンタテレサ礼拝堂」、その中にある宝物殿です。
中央のガラスのケースの中には、豪華な金銀細工で飾られた「聖体顕示台」が展示されています。
聖体顕示台とは、日本で言えば御神輿のようなもので、聖週間に担いで町を練り歩くというもの。
キリスト教では非常に重要なものです。
ここで天井を見上げると、今までとは打って変わり、天井が非常に高くなり、壁も白く明るい雰囲気に満ちています。
イスラム要素がまったく無くなるのです。
この宝物殿は八角形の部屋で、壁には宗教画が飾られています。
施設情報
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