ペペロンチーノは「絶望のパスタ」?日本と本場イタリアでどう違う?
公開日:2021.10.21 更新日:2022.11.08
日本のイタリアンレストランでは定番のペペロンチーノ。ですが、本場イタリアのレストランではメニューに並ぶことがほとんどありません。
イタリアのレストランで「ペペロンチーノ」と注文したところ、唐辛子がぽつんと置かれたお皿が出てきたという笑い話もあるほど。
では何故日本とイタリアでは扱いが異なるのでしょうか。記事では、そもそもペペロンチーノとは何か。本場イタリアでの立場などについても記載しています。
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Pokke編集部
1.ペペロンチーノとはなにか?
「peperon(ペペロン)」はイタリア語で「唐辛子」です。ペペロンチーノは「spaghetti al peperoncino(唐辛子のスパゲッティ)」の略称。
正式名称としてよく使われるものに「アーリオ・オーリオー・ペペロンチーノ(Spaghetti aglio, olio e peperoncino)」というのがあり、意味は「ニンニクとオイル(オリーブオイル)と唐辛子のスパゲッティ」となります。
素材名を並べただけという珍しい名称ですが、シンプルさ故に本場イタリアでは最も基本的な料理かもしれません。
ペペロンチーノの基本的な材料や味の決め手は?
正式名称が示すとおり、ペペロンチーノの材料は「ニンニク」「オリーブオイル」「唐辛子」の3種類のみ。
味の決め手は塩分濃度
ペペロンチーノは何も味付けはしないのでしょうか。実はパスタを茹でる湯に塩が入れてあり、この塩分濃度が味に影響を与えます。
あるイタリアンの巨匠のレシピには、ちゃんと茹でる湯の塩分濃度が書かれているそうです。
アーリオ・オーリオ
本場イタリアでは、「ニンニク」と「オリーブオイル」のソースを使って作られるパスタ料理全般を「アーリオ・オーリオ」と呼びます。
そこに唐辛子を加えスパゲッティを使用すると「ペペロンチーノ」となるわけです。
パスタとスパゲッティの違いは?
パスタは小麦を練って作る麺類全般を指し、スパゲッティは細い紐状にした麺を指します。つまり、スパゲッティはパスタの一種とういうわけです。
本場イタリアには650種類以上のパスタがあると言われ、太さや長さで分類されています。
2.本場イタリアと日本のペペロンチーノはどう違うの?
イタリアでの立場
本場イタリアではペペロンチーノを「絶望のパスタ」や「貧乏人のパスタ」と呼びます。
その理由はお金がなくても、3つの材料とスパゲッティさえあればできてしまう、たとえ絶望の淵にいても作ることができるという意味だそうです。
つまり、ペペロンチーノは手間隙かけた料理で勝負するレストランで出すメニューではなく、家庭料理として楽しむものだという意識に根ざしているからでしょう。
日本での立場
日本ではミートソーススパゲッティやナポリタンが主流だった1970年代にアーリオ・オーリオが入ってきました。
それに唐辛子を加えてペペロンチーノとしてレストランのメニューに加えられ定着していきました。そこには日本とイタリアとの国民性の違いに根付いた麺への思い入れがあるようです。
日本の麺文化との共通点
ペペロンチーノの立場は日本では蕎麦やうどんによく似ています。
複雑な料理としてではなく、むしろ麺そのものを味わう、いかに素晴らしい食材をシンプルにまとめあげるか、そこに日本の麺文化との共通点があるのではないでしょうか。
日本の蕎麦屋やうどん屋さんへ行けば、必ず「かけそば」や「素うどん」といったメニューがあり、堂々と注文をしても何の問題もありません。
つまり、ペペロンチーノは日本では主食ではない、ソースよりまず素材が大切という国民性が日本でのペペロンチーノの地位を上げている要因かもしれません。
3.最後に
日本とイタリアでは麺類に対する思い入れの違いが、ペペロンチーノ地位を決めていました。日本では、蕎麦屋さんで「かけそば」を注文するように、レストランで「ペペロンチーノ」を注文します。
最近は、日本でもペペロンチーノに様々な素材を加えて、バリエーション豊かなメニューも増えていますが、シンプル故に素材の味や調理法が決め手となるペペロンチーノ。
本当はシェフの腕が試されるメニューなのかもしれません。
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