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アメリカ・セイラムを巡って学べるダークツーリズム

Part2. 魔女裁判の原因とメカニズム


魔女裁判とは?アメリカ・セイラムを巡って学べるダークツーリズム」では、3つのパートに分けて魔女裁判が実際に起こったアメリカ・マサチューセッツ州セイラムという地域を巡ります。セイラムの魔女裁判が行われた経緯と、ヨーロッパで起こった魔女裁判との異なる点を学び、実際に魔女裁判を追体験できる場所を紹介します。

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セイラムの魔女裁判の原因とメカニズム

セイラムの魔女裁判の経緯を時系列でご紹介しました。
では、なぜセイラムで魔女裁判が起こったのか、原因とメカニズムを考察してみましょう。

少女たちの症状の原因

まず最初に、気になる少女たちの症状の原因について、いくつか有力な諸説を紹介します。

社会的不安説

少女たちが社会的不安に煽られたために、症状を起こしたという説は、昔から研究者によってよく指摘されている説です。

背景で述べたように、セイラム村はキリスト教の厳格な一派であるピューリタンが集まった村です。理想の暮らしや信仰を追求するために、少女たちがさまざまな抑圧を受けていたであろうことは想像がつきます。

また、セイラム村には侵入者が多く、環境が脅かされていました。セイラムだけではなく、ニューイングランド全体で災害があり、食べものに困りました。

ピューリタンとしての教えや、セイラムの不安定な状況による社会的不安から、少女たちが神経症のような発作を起こしていたという説は有力です。

ライ麦の中毒症状説

最近では、ライ麦による中毒症状もよく指摘されています。 セイラム村でよく食べられていたパンはライ麦で作られたものでした。

ライ麦には麦角菌という毒性の菌が繁殖します。この麦角菌に感染すると、手足が壊死したり、腹部を思わずつねって抑えたくなるほどの痛みが引き起こされます。

また、麦角菌に感染すると、幻覚症状も見られます。魔女裁判の霊的証拠として「魔女が魔法を使用するところを見た」という証言もいくつかありましたが、それは幻覚作用によるものだと言われています。

セイラムの魔女裁判のメカニズム

少女たちの症状の原因の有力な説をご紹介しました。 それでは、セイラムの魔女裁判がどのように引き起こされたのか、メカニズムをご紹介します。

牧師の説教による「魔女」の広まり

背景で述べたように、セイラム村では社会的に不安定な厳しい状況が続いたため、牧師が預言者エレミアの契約の説教を行います。この説教では、神との契約に従わない堕落した者を悔い改めるために厳しい状況が与えられていると説かれていました。

こうした説教はいつしか「魔女」や「悪魔」に焦点が当てられました。そのため、民衆は「魔女」や「悪魔」を悔い改めさせれば厳しい状況は終わると考えます。

セイラム村の牧師による説教が広まったことで、魔女裁判の起こる下敷きになりました。

なぜ牧師の説教は、堕落した者を悔い改める内容から「魔女」や「悪魔」に焦点をあてる内容へと変わったのでしょうか。 こちらも諸説ありますが、代表的なものは二点あります。

まず第一に説教の内容自体が自然と魔女の責任へとすり替えやすかった説です。堕落した者を魔女と置き換えることは可能であるため、魔女の概念が輸入されると自然にすり替わっていったのです。

第二に、牧師が意図的に行ったという説です。 セイラム村の状況は堕落した者を悔い改めるまで耐え難かったため、牧師が意図的に魔女へと責任転嫁したと考えられており、牧師の責任が問われます。

少女たちの症状と告発によって魔女裁判が可能に

セイラム村の牧師の説教によって、「魔女」や「悪魔」が厳しい状況を生み出しているという考えが広まりました。

その状況の中、少女たちが集団で痛みや苦しみの症状を訴えます。少女たちの症状は、医者にかかっても原因不明でした。少女たちは「魔女に苦しめられている」と訴え、特定の人物を告発します。

魔女を特定し、悔い改めさせれば、厳しい状況から解放されると民衆たちは考え、魔女裁判を推進していったのです。

少女たちの告発によって、魔女を特定し断罪できる魔女裁判が可能になりました。

セイラム村の勢力争いが魔女裁判を利用する

セイラムの魔女裁判の背景としてもう一つ、セイラム村の権力争いをご紹介しました。

告発者側は主にパットナム家の関係者です。
対して魔女側は主にポーター家の関係者でした。

パットナム家は当時失脚していた牧師パリスと親交がありました。症状を訴えた少女の最初の二人のうち、ベティはパリス牧師の娘なのです。 ベティの告発を通して、パットナム家は魔女裁判を利用し、ポーター家との権力争いに勝とうとしていました。

そしてセイラム村の勢力争いの道具として魔女裁判が利用された結果、魔女裁判は200名の容疑者を出すほどエスカレートし、長続きしてしまいました。

セイラムの魔女裁判のまとめ

セイラムの魔女裁判の背景には、セイラム村の当時の環境が芳しくなかったことと、権力争いがありました。

最初に異常をきたしたベティとアビゲイルの症状は、セイラム村の少女たちに伝染していきます。

魔女裁判は、ティトゥバ、サラ・グッド、サラ・オズボーンの三人の魔女のせいだと少女たちが告発したことから始まります。 告発はこの三人だけにとどまらず、村からは200名以上の魔女の容疑者と25名の犠牲者が出されました。

セイラムの魔女裁判は商人トーマス・ブラットルに批判されたことで、世論として広まります。同じ頃に少女たちの告発にも疑問が持たれるようになりました。 この騒ぎを知ったマサチューセッツ湾直轄総督のウィリアム・フィリップスが裁判を終わらせ、魔女として捕らえられた者たちに詫び状を送りました。

このように、セイラムの魔女裁判は、ヨーロッパでのような迫害行為との類似点はありますが、少女たちが集団で告発をしたり、民衆側の商人の意見がきっかけで終了したりといった、独自の歴史を辿りました。

終わりに

セイラムの魔女裁判は少女たちの集団パニックで大勢の人が犠牲となりました。魔女裁判が収束したきっかけは、商人トーマス・ブラットルによる批判と世論でした。そして裁判の過程を見直した総督ウィリアム・フィリップスから、元魔女たちへ謝罪をしました。

セイラムの魔女裁判の背景から収束までを学んでみると、魔女裁判が現代の炎上のような過程を歩んでいることに気づきます。

度重なる厳しい環境や状況に耐える人々は、疑心暗鬼になって「悪魔」や「魔女」へ責任を転嫁するようになりました。 そして、少女たちに告発された魔女を断罪することで救われようとしています。 また、その裏に派閥争いがあったことも忘れてはなりません。

しかし、セイラムの魔女裁判では教会や政治的権力者ではなく、商人という民衆の側からおかしいと声が出ました。商人の声から魔女裁判が終了し、正式に謝罪が行われました。

魔女裁判という負の歴史の事実は消すことができません。

実際にセイラムを訪れた際には、こうした負の歴史と事実を学び、何かを感じられると幸いです。

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