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池袋をもっとディープに知ろう!

【PART.3】池袋・女性オタク文化の発展史



池袋をもっとディープに知ろう!」シリーズでは、池袋の歴史をディープに掘り下げるをテーマに、副都心への発展、闇市とスガモプリズン、女性オタク文化、チャイナタウン、文学・芸術の5つのパートにわけてご紹介します。記事を通して、池袋という都市の奥深い魅力をご紹介します。

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この記事では、池袋の女性オタク文化の発展史を特集します。 元々オタクの聖地であった池袋が、秋葉原のオタクの街へとシフトしたことから、池袋のオタク向け専門店が女性向けへと特化し、女性オタクの文化が発展した歴史をご紹介します。

1.なぜ池袋に女性オタクが集まるようになったか

東池袋 サンシャイン前 乙女ロード


池袋といえば十数年前から「乙女ロード」が有名になっています。

女性、特にオタク気質を持った方が訪れる場所ですね。

池袋のことを、女性オタクが日夜通う都市として認識されている方も多いと思われます。

池袋になぜ女性オタクが集まるようになったか、皆さんはご存知でしょうか?

元々は女性オタクも男性オタクも池袋に混在していましたが、秋葉原が電気街として発展したことをきっかけに、通うオタクの性別が分かれていきます。

今回は秋葉原との比較をしながら、女性オタク文化の面で池袋の歴史を掘り下げていきます。

2.オタクの登場

1980年代前後、漫画やアニメを愛好し、互いのことを「おたく」と呼称する人々が現れます。

1983年、中森明夫氏による『漫画ブリッコ』に掲載された「おたくの研究」という連載記事から、「おたく」「オタク」という言葉が多用されるようになります。

「オタク」という名称は、男性中心で語られがちですが、女性のオタクも黎明期から非常に活動的です。

世界最大の同人誌即売会である「コミックマーケット」は、女性のオタクによって初めて開催された事実をコミケカタログの第一号で確認できます。

コスプレ文化は、コミックマーケットで手塚治虫の漫画『海のトリトン』のキャラクターの格好を模した女性が初めて登場したのを契機に形成されていったと伝えられています。

オタクと呼ばれる人々が増えるにつれ、アニメ産業への需要は高まっていきました。

3.オタクの街としての池袋

元々は女性も男性も関係なくオタクが混在していた街が池袋。

池袋にオタクが集まった理由として、1983年のアニメイト池袋本店の開店と、1994年のK-BOOKS池袋店の開店が挙げられます。

なぜこれらのアニメ・オタク向け企業が池袋に集まったかというと、池袋は豊島区に位置しており、トキワ荘という手塚治虫をはじめとした漫画家が住んでいるアパートがあったことから、漫画文化のメッカとして知られていたからです。

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さらに、池袋には巨大ターミナル駅があり、たくさんの集客があると見込まれたこともあります。

また、1978年にビックカメラが東京進出。

2号店として池袋東口に店舗を構え、カメラのディスカウントショップを始めます。

1990年代に入り、ビックカメラがパソコンの販売も始めると、さらに人が集まるようになります。

アニメグッズの卸売店、同人誌の中古販売、さらにはアニメを録画したり、通信で情報が仕入れられる電子機器が揃う池袋は、オタクにとっての元祖聖地となりました。

4.男女のオタクが集まると生じる弱点

オタクの街・池袋には弱点がありました。

男女のオタクが互いの好むものに抵抗を感じたり、避けたりする傾向が見受けられたことです。

男性のオタクが好むものは女性キャラクターのグッズや同人誌。

対して、女性のオタクが好むものは男性キャラクターや、ボーイズラブと呼ばれる男性キャラクター同士の恋愛を扱った本です。

似ているようで全く正反対の嗜好を持つ男女のオタク。

K-BOOKS池袋店では女性向け同人誌も男性向け同人誌も同じ一角に販売されていたため、目を合わせないようにしていたといいます。 事実、コミックマーケットも現在は男性向けと女性向けで日にちが分かれています。

5.秋葉原でオタクの街が急成長

秋葉原駅周辺


では、なぜ池袋に、女性オタクが集中するようになったのでしょうか。

この理由を知るには、秋葉原の歴史との比較が欠かせません。

池袋にビックカメラが進出したのと同様に、秋葉原にも同時代、家電量販店が次々と開店し、電気街として知られるようになります。

しかし、バブル崩壊後、コジマ電気といった郊外の家電量販店が出来ると、都心ではなく郊外へと家電を買う人々が集まりました。

秋葉原の家電量販店は経営悪化とともにパソコンやオーディオの販売へとシフトしていきます。

そんななか、1995年放映のテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』が流行。

エヴァブームのさなかでは、一般書店でもエヴァンゲリオンコーナーが設けられ、書籍・レーザーディスク、ゲーム、プラモデルなどといった商品が並べられました。

1998年、秋葉原のラジオ会館がフロア改装を行います。

家電・パソコン・オーディオ中心だったフロアにキャラクターモデルやプラモデルのガレージキット、同人誌や新刊漫画が流入しました。

ラジオ会館はエヴァブームを目の当たりにし、経営悪化を立て直すためにこうしたオタク文化を取り入れたと考えられます。

ラジオ会館に続き、1999年にはゲーマーズが本店ビルを建設。

それぞれのフロアにキャラクターグッズ、ゲーム、コミック、アニメのCDやビデオ、ガレージキット、トレーディングカードが入っていました。

その後、同じようなフロア構成のビルがいくつも出現し、百貨店であるアキハバラデパートがフロア構成をオタク向けに改装するなど、オタク趣味が影響力を持って電気街をオタクの街へと変貌させていきました。

6.池袋、女性オタクの都市への発展

秋葉原がオタクの街へ変貌していく下積みを経て、池袋の街も変化していきます。

2000年、アニメイト池袋本店がフロア改装を行い、販売するアニメグッズを一新、女性向けに特化しました。

アニメイト池袋本店の改装に伴い、周辺のK-BOOKSや関連する専門店も取り扱う品を女性向けに特化します。

2004年、漫画雑誌『ぱふ』で東池袋の特集が行われ、K-BOOKS周辺の道が乙女ロードと命名されます。

乙女ロードはちょうどサンシャインシティのメインストリート前にあたります。

2006年にはK-BOOKSの系列店として執事喫茶「スワロウテイル」が開店。

池袋のオタク向け専門店による一連の女性向け特化で、女性オタクが池袋に集中し、男性オタクは必然的に秋葉原に訪れるようになりました。

その後、池袋では女性向けのオタク専門店が次々と開店していきます。

7.現在の池袋乙女ロードとその周辺の女性オタク向け専門店

・『ACOS池袋本店』  主にコスプレ衣装や小物の販売。

・『らしんばん池袋本店 オーディオ・キャスト』  女性向け作品の映像・音楽をメインに販売。

・『らしんばん池袋本店 キャラクターグッズ館内』  アニメなどのキャラクターグッズの販売。

・『K-BOOKS 池袋キャラ館/池袋GAME館』  アニメ・ゲームの女性向け同人誌の販売。

・『K-BOOKS 乙女館』  BL、BL出身の作家を中心にした同人誌の販売。

・『K-BOOKS ライブ館』  女性向けアイドル作品の同人誌の販売。

・『まんだらけ ラララ』  ブルーレイ、CD、漫画雑誌や単行本、コスプレ衣装など、豊富な品揃え。

・『K-BOOKS 池袋同人館』  取り扱い数は日本最大級と言われ、レアな本も多い同人誌の老舗。

現在の乙女ロードには多くの専門店が並んでいます。

乙女ロードではありませんが、アニメイト池袋本店が2012年に移転(2023年リニューアルオープン)したことから、その周辺にも様々な施設ができました。

2018年にはアニメショップの老舗である駿河屋がオープン。

2019年にはハレザ池袋という映画館や劇場などが入った複合施設がオープン。

ハレブタイというステージでは、Vtuberなどのバーチャルゲストのライブも可能です。

2020年にはMixa live Tokyoが完成。

主にアニメ関係の舞台や上映会、イベントなどが行われています。

8.池袋の女性オタク文化の歴史を知った上で歩くのも面白い

もともと男女のオタクが集まっていた池袋。

秋葉原の街がオタク向けにシフトし、池袋のオタク向け専門店が女性向けへと一新されると、池袋の街は女性オタクの聖地となりました。

男女のオタクが集まると生じる違和感については、共感する方も多いと思われます。

男女で集まる街が変わっていくのは必然的だったのかもしれません。

現在、池袋はご紹介したように女性オタク向けの専門店が非常に多く、豊島区も振興に力を入れています。

ご紹介した女性オタク文化の歴史を知った上で、池袋を歩いてみると面白いかもしれません。

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