フランシスコ・ザビエルの右手が眠るジェズ教会の歴史と見どころ
ザビエルの右手が眠る教会
ジェズ教会は聖遺物「ザビエルの右手」が保管されているイエズス会の母教会です。正面のファサードは「世界初の真のバロック様式のファサード」と言われています。
ジェズ教会は、1568年よりアレクサンデル・ファルネーゼ枢機卿の後援で新たな教会建設が始まります。
ファルネーゼ家お抱えの建築家ヴィニョーラの設計で進められていきます。ジェズとは、イエスのこと。正式には「聖なるイエスの御名教会」と言います。
1584年の完成より、約一世紀間ほどの間、この教会の造りはローマ中の教会建築に影響を与え、さらにはイエズス会士たちによってヨーロッパ各地にももたらされます。
それまでによくあった、3廊式や5廊式の教会とは違い、ジェズ教会の内部では、多くの人々が祈りに集中できるように中間の柱やピラスターを取り除き、1廊式の広々としたスペースが確保されています。
祭壇はどの位置からも見え、全員がミサにあずかることができました。また身廊脇には左右それぞれ3つずつのチャペルが設けられています。
内部に入ると、天井から光が差し込んでくるように見えます。
ジョヴァンニ・バッティスタ・バウッリ、通称イル・バチッチョによるフレスコ画「イエスの御名の勝利」です。1676年から1679年にかけ、描かれました。
バロックの時代にあって、ルーベンスやベルニーニの影響を受け、建築と彫刻と絵画が環境の中で融合する芸術を目指しました。
彫刻部分は、イル・バチッチョによるデザインを元に、アントニオ・ラッジが仕上げています。
イエスという御名の下に強烈な光が発せられ「教会」、「聖人」、「高位聖職者」の寓意がそこに吸い込まれる勢いです。
それに対して、影にうじゃうじゃと描かれる男たちは、それぞれ悪徳の寓意で「贅沢」、「嫉妬」は毛をかきむしり、孔雀は「うぬぼれ」、「異端」はロバの耳を持ち、「聖職売買」は銭袋を握っています。
その中には目を潰された「悪魔」もいます。面白いのは、本を持つ男。「無駄な科学」を表し、これも当時は悪徳に加えられていたのです。
これらの悪徳は、イエスの御名の栄光の光によって立場をなくし、地獄へと真っ逆さまに突き落とされていく様子が描かれています。
教会内部、右翼廊部はフランシスコ・ザビエルに捧げらえた祭壇で、ピエートロ・ダ・コルトーナのデザインによります。
アジアの人々に洗礼を施したフランシスコ・ザビエルの右腕が、聖遺物として保存されています。
施設情報
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