歴代ローマ皇帝が居を構えたパラティーノの丘の歴史と見どころ
ローマ建国の祖ロムルスの居
ローマ建国の地であるパラティーノの丘には帝政時代の広大な宮殿跡が広がっています。コロッセオやフォロ・ロマーノを一望できる絶景スポットでもあります。
ファルネジアーニ庭園は、16世紀にアレッサンドロ・ファルネーゼが世界で初めての植物庭園を造らせました。
当時の雰囲気が残された庭園といわれています。
ローマ時代には、ここに2代皇帝ティベリウスの邸宅がありました。
治世後半の約10年、ローマを避けてカプリから統治した皇帝で、元老院や市民から不評を買いました。
しかし、アウグストゥス帝が創始した帝政を定着させたのは、紛れもなくティベリウスの功績であり、近世の研究結果により評価が高まった皇帝の一人です。
この庭園の一角、北西のテラスからはフォロ・ロマーノからコロッセオまで広く見渡すことが出来る、絶景スポットとなっています。
パラティーノの丘に残る「アウグストゥスの家」は、かつてローマ建国の英雄ロムルスとレムスが住んでいた場所に、初代皇帝アウグストゥスを筆頭に歴代の皇帝が宮殿を建てたといわれています。
ここにはアウグストゥス帝とその妻であるリヴィアの家が隣接して建っています。
ローマ皇帝の邸宅としては、その規模の小ささに驚かされるのではないでしょうか。
アウグストゥス帝は、初代皇帝としてその後約200年にも及ぶ、パクス・ロマーナと呼ばれるローマの最盛期をもたらした人物です。
ですが、彼の時代には元老院議員が力を持っていたため、反発をかわしながら徐々に帝政を定着させる必要がありました。
そのためには、邸宅一つとってみても、目立たないように気を配っていたと思われます。
ドムス・フラヴィアは、第11代皇帝ドミティアヌスが治世の全てを懸けて建てさせた壮大な公邸です。
建築家ラビリウスに命じて、アウグストゥス帝やネロ帝、ティベリウス帝達が建てた建物を撤去して建てられました。
その後約300年に渡りローマ帝国皇帝の官邸として利用されていたといわれています。
ドムス・フラヴィアは皇帝の公務を行う場所ですが、私邸のほうはドムス・アウグスターナと呼ばれ、すぐ東に隣接しています。
今日では基盤と外壁の一部、石柱の一部しか残っていません。
見どころは、中央に八角形の噴水のある中庭。八角形の基盤だけがそのまま残っています。
現在では一見して原っぱのようですが、豪華な列柱が囲んでいた広大な中庭を想像してみましょう。
当時は豪華絢爛だったのでしょうが、今は池の中にも草が生え、年月を感じさせられます。
中庭の両端には「皇帝の間」や「正餐の間」があったそうです。
ドムス・アウグスターナは、ドムス・フラヴィアに隣接して建てられた第11代皇帝ドミティアヌスの私邸です。
私邸といっても破格の規模ですが、残っている部分はわずかです。
ドムス・アウグスターナの建物中央に開いたアーチ型の門を通り抜けると、柱廊に囲まれた半地下の中庭に噴水跡があります。
ドムス・フラヴィアの八角形のものといい、パラティーノの丘で使用されていた水の量の膨大さが実感出来るのではないでしょうか。
その使用量を支えていた水道の一部は、このパラティーノの丘の中で見ることが出来ます。
2000年も前にこのような水道施設が備わっていたのですから、驚きですね。
施設情報
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