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サンタマリアダルマル教会

王や貴族に対抗して造り上げた庶民の教会

船乗りのバシリカ サンタ・マリア・ダル・マル教会 - スペイン・バルセロナ


バルセロナのボルン地区にあるサンタ・マリア・ダル・マル教会、別名「リベラのカテドラル」。

バルセロナを代表する美しい教会です。
14世期、地元の船乗りたちによって建てられたサンタ・マリア・ダル・マル教会。
当時は教会のすぐ近くにまで海岸線が迫っており、祈祷の最中に波の音が聞こえたといいます。

多彩なモチーフが特徴の壮大なステンドグラスは必見です。

バシリカとカテドラルの違いは?

バルセロナのカタルーニャゴシック建築を代表するサンタ・マリア・ダル・マル教会は、
14世紀、船乗りたちによって海にほど近いこの地に建てられました。

「リベラのカテドラル」として地元で親しまれているこの教会は、実はカテドラルではありません。
「バジリカ」と呼ばれる種類の教会です。

バジリカはカトリックにおいては、カテドラルよりは下位、一般教会よりは上位に位置しています。
ちなみにサグラダ・ファミリア教会もカテドラルではなく、バジリカなのです。

それではバルセロナのカテドラルは?、というと
すぐ近くのゴシック地区にあります。

ゴシック地区にある本物のカテドラルは、当時王族、貴族や身分の高い人々とつながりがありました。
一方サンタ・マリア・ダル・マル教会は、漁師や船乗りをはじめとした労働者階級のための教会だったのです。

実はこの二つの教会は建設時期が同じでした。
城壁の中に住む王や貴族たち、特権階級の主導によって建設されていたカテドラル。
それに対抗意識を燃やし城壁の外に住む、船乗りや住民たちが協力してこの教会を作り上げようとしたのです。
彼らの熱意によってサンタ・マリア・ダル・マル教会はわずか50年あまりで教会は完成しています。
このカテドラルとサンタ・マリア・ダル・マル教会の階級闘争をインスピレーションとする小説「ラ・カテドラル・デル・マル」が2006年に出版されています。

スペインでは大ベストセラーとなり、世界各国でも翻訳され人気を博しています。
日本でも「海のカテドラル」というタイトルで翻訳版が出ているので、ぜひおすすめです。

神へと通じる荘厳な空間

教会の内部に一歩足を踏み入れると、
広々とした厳粛な空間に身が引き締まるような気持ちになります。

この教会の美しいゴシック様式で知られています。
それは目線を上へと向けると実感できることでしょう。

床から伸びる柱や壁の導線が上へ、上へと向かって次第に尖っていくアーチ状になっています。
天の神に少しでも近づきたいとの思いで作られたゴシック建築の特徴です。

長さ80メートル、幅と高さがそれぞれ33メートル、天井の一つ一つのドームは13.5メートル四方の大きさです。
縮尺がキリの良い数字なのに気づきましたか?
サンタ・マリア・ダル・マル教会は正確に計算されて建設されているのです。

教会をしっかりと支えている16本の太い柱は直径1.5メートル。
前方の8本の柱は特に強く、1本で500トンもの重さを支えることができます。
天井の方に金色の装飾がありますが、そこまでの長さが17メートル。

実はこれらの柱には面白い仕掛けがあります。
一見しただけでは気づきませんが、根本がとても太く、先端が細くできているのです。
つまり、遠近法によって天井が実際よりも高く見えるという効果を生んでいるのです。

ちなみにこの教会の一番の見どころはステンドグラスの数々。
最初に目に入る門の上のほうにある大きな円形のステンドグラスは1459年に作られたもので、直径は9メートルもあります。

中心に描かれているのはマリアへの王冠授与の場面。
その周囲は福音史家のシンボルです。
外側には12人の使徒、残りは聖人とオビスポ、そして楽器を弾く天使たち。

左右に合計30の小聖堂がありますが、それらの上の壁にもステンドグラスが飾られています。
1711年作の最後の晩餐や、1995年作のバルセロナオリンピックをモチーフにしたものなど、新旧様々なステンドグラス。
中にはサッカーチーム・バルサのエンブレムも隠れています。

サンタ・マリア・ダル・マル教会の伝説

サンタ・マリア・デル・マル教会には様々な伝説が残っています。
一つ、ご紹介しましょう。

昔、教会の近所にお金を溜め込んでいると評判の老人が住んでいました。

ある日、まだ夜もふけていない時間帯、泥棒の一味が老人の家へと押し入って老人をナイフで刺してしまいます。
泥棒はありったけの物を盗み、凶器のナイフを持ったまま逃走しました。

時を同じくして、近所の毛布工場で働く若者が悲鳴に気づき、何が起こったのかと老人の家へと駆けつけました。
すると、床は一面血の海です。

若者は驚いて家へと逃げ帰ってしまい、あまりの恐怖に眠ることもできず、明かりをつけっぱなしにしていました。
しばらくすると、見回りをしていた夜警が老人の家の扉が開いていることに気づき、中の惨状を目にします。

老人は既に息絶えており、傍らには血の海とおそらく若者の作業着から落ちただろう毛布用のはさみが残っていました。
若者の家の明かりがついていたこともあり、疑いの目は当然彼へと向けられます。
結果的に彼は死刑を宣告されてしまいました。

絞首刑場へと連れられて行く道中、泣き叫んで自分の無実を訴え続ける若者。
ちょうどサンタ・マリア・ダル・マル教会の後方の門の前にある広場にさしかかったときのことです。

教会のマリア像の顔が若者の方へと動き、悲しそうな表情で見つめたのです。
それを見た町の人々は驚き、若者の罪は晴れ、めでたく自由の身となりました。

ちなみにこの教会のマリア像は今でもあります。
教会の後方の出入り口から出ると、ちょうどマリア像が見えます。
出入り口を正面にして立ち、右へと進む道が若者が引きずられていた道。
マリア像の顔は今でもその通りの方を向いています。

もっと知りたい人はサンタ・マリア・ダル・マル教会のガイドを聴こう

サンタ・マリア・ダル・マル教会の見どころはまだまだ続きます。
気になった方は現地でガイドを聴いてみましょう。

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