ポンペイ遺跡の秘儀荘とは?『秘密の壁画』の意味と見どころを解説!
「ポンペイの赤」と言わしめたダイナミックな赤色壁画で有名
ポンペイ遺跡の北西にある秘儀荘は、遺跡の中でもひときわ大きく、独立した建築物と室内のフレスコ画で有名です。場所は、ポンペイ遺跡入り口のマリーナ門から北西方向へかなり歩いた所にあります。
秘儀荘とは、秘密の別荘という意味です。
一体どんな秘密を抱えていたのでしょうか。
ポンペイ遺跡にある秘儀荘は、遺跡の中でもひときわ大きく、約90部屋もある大豪邸です。
しかし、これほどの大豪邸でありながらポンペイの中心部からはかなり離れた場所にひっそりと建っています。
秘儀荘とは「秘密の別荘」という意味。
一体、どんな秘密を抱えていたのでしょうか。
実は秘儀荘は、ギリシャから伝来された秘教「ディオニソス教」の信仰のための建物でした。
しかし、ディオニソス教はローマ帝国の秩序を乱すものとして弾圧されており、ローマ帝国政府の監視対象だったのです。
なぜ弾圧されていたのか?
それは、ディオニソス信仰の教えにあります。
『社会的な法や理性といった束縛から自分を解き放ち自由になろう』
つまり個人的な思想を促す宗教であり、国家を否定する思想をローマ帝国は容認できなかったのです。
「秘儀荘」の壁面に描かれている絵もディオニソス教の信仰を描いたものです。
弾圧から逃れながら、秘儀荘の主人はこの町から離れた建物の壁に秘儀を描いて、信仰を唱え続けたのです。
ちなみにディオニソス神とは、ギリシャ神話に登場するお酒の神様バッカスのことです。
秘儀荘の内部には小作人の部屋やブドウを絞る部屋、パンを焼くかまど、等といった2000年前の人々の暮らしを伺わせる部屋だけでなく、最大の見どころである『ディオニソスの秘儀の壁画』の部屋があります。
『ディオニソスの秘儀の壁画』は最も有名な古代絵画と呼んでも過言ではなく、目の前に立つと、そのスケールとダイナミックな構成に圧倒されること間違いありません。
この秘儀荘の壁画は、赤色を背景に等身大に描かれた29人の人物が描かれており、ディオニソスの秘儀への入信の場面を描いた連続画と言われています。
この赤はいわゆる「ポンペイ・レッド」と呼ばれるもので、単純な絵の具の色というわけではありません。火山噴火以前は黄色い壁であったものがヴェスヴィオ火山の噴火と噴出ガスによって赤色に変色したものと考えられています。
この絵は一般にディオニソスの秘儀への入信の場面を表しているといわれていますが、それぞれの絵が何を表しているかはいくつもの説があります。
絵は左から始まりまっています。
最初の場面では、豊穣の神ディオニソスが「宗教儀礼書」を朗読し、それを椅子に座った女性が静かに聞いています。
順に、奉納物を運ぶ若い女性、身を清めている座っている女性、竪琴を奏でるディオニソスの従者などが描かれています。
右側の壁では、黒い羽を持つ神が情け容赦なく入信者にムチを振るっています。ムチ打ちはこの儀式の重要な一部だと考えられていました。そして、信者の女性が最後の試練を乗り越えた喜びから、裸で酔いながら踊っている場面に続きます。
最後には、座った女性がこの儀式の一部始終を見つめています。この女性こそが、秘儀荘の女主人であったと考えられています。
以上がディオニソス教に入信するための秘密の儀式の一連の流れです。ですが、この絵画が意味するところは実際には誰にも分かりません。
このフレスコ画はカンパーニャ地方の画家が紀元前70~60年頃描いたものだと考えられています。2015年に秘儀荘は大規模に修復されていますが、この絵は保存状態がよく、ほとんど修復の必要が無いほどでした。
秘儀荘はポンペイ遺跡入口から北西に向かって徒歩15分ほどで到着します。
秘儀荘の開館時間は9:15 – 18: 40となっていますが、ポンペイ遺跡の他の見どころからは離れているので最後に回るのが良いかもしれません。
ポンペイ遺跡のその他の見どころについてはこちらに詳しくまとめています。
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