旅するPokkeの体験記 #002
音声ガイドと共に、いざ行かん大航海の時代へ! 岡山市立オリエント美術館特別展「大航海時代へ-マルコ・ポーロが開いた世界-」
岡山市立オリエント美術館は、オリエント世界の考古・美術・民俗資料を専門的に収集・保存し、調査研究に基づいて展示・公開することを目的として1979年に開館したミュージアム。 今回、このオリエント美術館で9月16日(土)から開かれているのは、「大航海時代へ-マルコ・ポーロが開いた世界-」という企画展です。
商人としてシルクロードを通ったマルコ・ポーロが記した『東方見聞録』は、人々を冒険に駆り立てる大航海時代へと発展させました。 「大航海時代へ」は、大航海とマルコ・ポーロをテーマの中心にした、冒険心をくすぐるワクワクした展示となっております。 Pokkeの音声ガイドは、「大航海時代へ-マルコ・ポーロが開いた世界-」に協力させていただきました。 今回、Pokke編集部で実際に音声ガイドを体験してきましたので、その様子をレポートします!
01.岡山市立オリエント美術館へ
オリエント美術館は岡電東山線の「城下駅」から徒歩1分。 近くには岡山県立美術館もあります。 白いタイルの外壁が見えたら「大航海時代へ」の大きな幕が見えてきます。
到着したら、チケットカウンターにて、入場チケットと音声ガイドを購入し、専用のガイドマップをもらいましょう。 ガイドマップ内に音声ガイドの操作方法の案内が書かれていますので、案内に従って準備をしましょう。
音声ガイドとイヤホンの準備ができたら、展示室に入ってスタートです。
今回の音声ガイドは田丸篤志(たまる・あつし)さんに担当していただきました。
02.シルクロード
中にある展示物に、番号が振ってありますので、順番に聞いていきましょう。
「シルクロード」という章では、ペルシアの王侯貴族ゆかりとされる銀皿などが展示されています(音声プログラム2〜7が対象)。 マルコ・ポーロの移動ルートは古代から利用されてきたシルクロードだったのですが、マルコが通りかかる500年以上も前の金属工芸やガラス工芸をみると、その技術の高さに驚かされます。
面白かったのは、シルクロードは物品だけではなく、文化やスポーツを伝えていったそう。 7番の白陶加彩騎馬女子(はくとうかさいきばじょし)は、ポロと呼ばれる、馬に乗って行うボールゲームを楽しむ女性の姿が像になっています。 当時は女性も思いっきりスポーツを楽しんでいたんですね。像に表象されるかたちで、文化やスポーツもシルクロードから伝わっていきました。
シルクロードの対象音声プログラム
2.鍍金帝王狩猟文銀皿
3.サーサーン・ガラス
4.三蔵法師玄奘取経像
5.三彩六葉盤
6.鍍金銀貼四禽唐草文八稜鏡
7.白陶加彩騎馬女子
8.[許敬宗編][文館詞林](巻四五五断簡)
03.マルコ・ポーロの時代
マルコ・ポーロの時代では、マルコ・ポーロにかかわる品や書物が展示されていました。(音声プログラム9〜10が対象)。 『東方見聞録』に登場する通行証・牌子(パイザ)は、実際に使用されていたものです。 モンゴル帝国に支配されていた当時、ジャムチと呼ばれる駅伝制度によって、中央と地方の移動が可能になっていました。 牌子にはチンギス・ハンの名が刻まれており、とても貴重な資料。 錆びた模様が家紋のように見えますが、その下に刻まれていることが隣にある文字のシルエットでわかりました。
また、イギリスの東洋学者ユールによる『東方見聞録』の解説が追加された『マルコ・ポーロ卿の書』が展示されていました。 『マルコ・ポーロ卿の書』には、マルコ・ポーロが考えた、ヨーロッパから東方にかけての地図が載っています。 マルコ・ポーロが通ってきた道も地図に記されています。 マルコ・ポーロがイメージした世界地図を目にしていると思うと、素敵です。
マルコ・ポーロの時代の対象音声プログラム
9.成吉思皇帝聖旨牌子
10.ユール訳編『マルコ・ポーロ卿の書』
04.大航海時代のはじまり
大航海時代のはじまりの章では、香辛料の流通と『東方見聞録』をきっかけに、人々が大航海をしていった発見の軌跡が、書物や陶器の展示でわかりやすくなっていました(音声プログラム11〜17が対象)。 展示の途中には、スパイスの香りの体験ができるコーナーが設けてあり、香りくらべができてイメージが膨らみます。
大航海時代は、東方の文化がルネサンスにも影響していき、驚きです。 アレクサンドロス大王皿図は、ルネサンスを代表するマジョリカ陶器です。 このマジョリカ陶器は、イスラーム陶器の影響を受けて、白い釉薬の上に絵を描いたとされています。
書物はなんといってもマルコ・ポーロの『東方見聞録』が目玉です。 冒険家であるコロンブスが細部まで読んでいたのが、展示されているピピノ版『東方見聞録』でした。 こちらはコロンブス図書館所蔵のピピノ版複製品と見比べることもでき、充実しています。 フォペルによる地球儀も、冒険心くすぐる展示物です。 地球儀でツィパンガ(日本)と記された場所は、現在の西インド諸島のハイチとドミニカ共和国に位置する島。 日本が地理的に全く別の場所と認識されていたのに、今では正確に地球儀が作られ、技術が発達していった時代の変化が面白かったです。
大航海時代のはじまりの対象音声プログラム
11.アレクサンドロス大王図皿
12.ベルリンギエリ版プトレマイオス『地理学』
13.マルコ・ポーロ『東方見聞録』
14.レギオモンタヌス『暦』
15.メラ 『世界について』
16.フォペル[地球儀]
17.バロス『アジアについての十巻書』とコウト『アジア誌』
05.大航海時代と南蛮文化
大航海時代と南蛮文化の章では、大航海の冒険がとうとう日本に到達した頃の書物や屏風などが展示されています(音声プログラム18〜25が対象)。 日本に大航海時代の大波が到達したのは鉄砲伝来やフランシスコ・ザビエルが来日した、1540年代のこと。 キリスト教の布教とともに、南蛮文化と呼ばれる西洋の文化が日本にやってきて、交易が始まります。 [南蛮屏風]は狩野派、土佐派、長谷川派などが描きましたが、6mほどもある展示品には登場人物が323人! イエズス会、フランシスコ会といったカトリックを布教する南蛮人の入港と行列が描かれています。 よく見ると、輸入された煙草を吸う南蛮人や、三味線を弾く女性の姿があり、当時の雰囲気を味わえます。 90年ぶりに公開された瀬戸内海西海航路図屏風も見どころ。 日本の航路図が20カ国描かれており、江戸幕府の重要な関わりがあったと考えられています。 日本における航路図や、大航海の波に胸が踊る展示でした。
大航海時代と南蛮文化の対象音声プログラム
18.[糸割符御奉書]
19.[南蛮屏風]
20.本城惣右衞門『本城惣右衞門覚書』
21.[ヴァリニャーノ];サンデ『天正遣欧使節対話録』
22.マードレ・デ・デウス号関連
23.アマーティ『伊達政宗遣欧使節記』
24.ダッドレー[日本図]
25.瀬戸内海西海航路図屏風
06.最後に
シルクロードを旅したマルコ・ポーロの『東方見聞録』が、最終的にフランシスコ・ザビエル来日という日本史における大きな出来事に繋がっていったことが驚きです。 大航海時代が幕開けしたことにより、西洋から果てにある日本まで到達したと考えると、当時の人々にとって、冒険の旅はロマンのあるものですね。 わかりやすく、引き込まれる展示でした。 また、なんといっても展示をともにした田丸篤志さんの伸びやかなナレーションが聞きやすかったです。 ファンの方にとっては、田丸篤志さんのナレーションボイスというだけでも一聴の価値ありなので、是非オリエント美術館の「大航海時代へ」を訪れて、聴いて頂きたいと思います。 皆様のご来場を心よりお待ちしております!
施設情報
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施設名:岡山市立オリエント美術館
住所:岡山県岡山市北区天神町9−31
営業時間:9:00~17:00(最終入場16:30)
公式HP:https://www.city.okayama.jp/orientmuseum/
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