ラファエロやカラヴァッジョなど見どころ溢れるボルゲーゼ美術館
ボルゲーゼ家の歴代コレクションが集まる美術館
ベルニーニの「アポロンとダフネ」、「プルセルピーナの略奪」で有名なボルゲーゼ家の美術館です。
1階は特に彫刻作品が集められています。
中でも目を引くのが、「パオリーナ・ボルゲーゼ像」です。
19世紀初頭にアントニオ・カノーバが、当時のボルゲーゼ家当主であったカミッロ公より依頼を受け、結婚したばかりのカミッロの嫁パオリーナの横たわる裸体を真っ白な大理石に彫ったものです。
パオリーナはナポレオンの妹で、旧名はパオリーナ・ボナパルテといいました。
アグリッピーナという種類の長椅子に腰掛けた美女の裸体を横手に作品を仕上げたわけですから、芸術家とパオリーナが恋に落ちたというのは有名な噂になりました。
左手にリンゴを持っていますが、これは、古代の神話に出てくる「パリスの審判」の中で、この世で最も美しい女神であるとパリスに選ばれたヴィーナスのリンゴをイメージしています。
その他に、巨匠ジャン・ロレンツォ・ベルニーニが20代の頃に作成した彫刻作品数点が展示されています。
「ダビデ」「アポロとダフネ」「プロセルピナの略奪」「アイアネス、アンキーセ、アスカニオ」などがあります。
「アポロとダフネ」は、オヴィディウスによる「メタモルフォジ」に出てくる話をモチーフにしています。
キューピットがいたずらで射った金の矢が突き刺さったアポロが、鉛の矢を射られたダフネに恋をし、追いかけ回します。
逃げるダフネがついにアポロに捕まり、左手が腹部に触れた瞬間、妖精ダフネの体は神により月桂樹の木に変えられたというものです。
この瞬間の細かい描写、指の先が月桂樹の枝に変わっていき、足の爪は根を張り出し、ダフネの額には大粒の涙が見て取れます。
さらに、カラヴァッジョによる、「馬丁たちの聖母」「果物籠を持つ青年」「聖ヒエロニムス」「ダビデとゴリアテ」「病のバッカス」などがあります。
2階は、絵画館で、ルネッサンスから後期ルネッサンス、マニエリズムや、ヴェネツィア派などの作品が展示されています。
ラファエロの作品では「キリストの埋葬」や「一角獣を抱く貴婦人」があります。
前者は、ラファエロらしい気品に満ちた男や女が、十字架より降下されたばかりのキリストの遺体を埋葬しようとしている場面です。
右上には、ゴルゴダの丘の風景が、右手前には気を失った聖母マリアの姿も見て取れます。
ラファエロらしい色とりどりの玉虫色の衣装を身につけています。
アタランタ・バリオーニによって依頼された作品で、当時ペルージャでの内戦時に亡くなった息子に捧げるものとして、その母親の苦しみを聖母マリアに置き換えて描かせたと言われています。
構図は、ラファエロでは初めて複雑なものを取り入れ、キリストの体と、そのヒザ部分を支える青年の上半身がうまくクロスし、画面にリズムを与えています。
その他、ドメニキーノによる「ダイアナの狩猟」や、ティッツィアーノによる「聖愛と俗愛」「天使に目隠しをするヴィーナス」、そして、コレッジョの耽美的な「ダナエ」もぜひご覧ください。
施設情報
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