モデルニスモ建築の宝石と名高いグエル邸の見どころ紹介
天才ガウディが友のために建築した邸宅
ガウディとグエル氏の思いが込められた邸宅「グエル邸」。
アントニオ・ガウディの才能を見出したパトロン・グエル氏はガウディの理解者であり、生涯の友でもありました。
ランブラス通りにほど近いラバル地区に建てられたグエル邸はグエル氏のためにガウディが建てた邸宅です。
モデルニスモ建築の宝石と名高い「グエル邸」。
ラバル地区のノウ・デ・ラ・ランブラ通りに面したこの邸宅は、ユネスコの世界遺産にも認定されたガウディの傑作の一つです。
ガウディのパトロンであり、生涯の友人でもあったエウセビ・グエル氏の依頼によって19世紀の末に作られました。
実はこのラバル地区、グエル邸が建てられた頃は貧しい人々が住む地域でした。
当時グエル氏のようなブルジョア階級の人々はここより北にあるアシャンプラ地区に邸宅を建てるのが普通でした。
ですが、グエル氏はあえてバルセロナの城壁外に位置し畑や貧しい人々の住居があった、ここラバル地区を選んだのでした。
グエル氏はこの邸宅を建てるために3軒分の敷地を購入しましたが、それでも彼の経済レベルの邸宅としては狭いぐらいだったといいます。
当時ノウ・デ・ラ・ランブラ通りの入口にはバルセロナで一番有名な売春宿があったほどで、この通りの雰囲気も決して良いものではありませんでした。
なぜ、グエル氏はこの場所を選んだのでしょうか。
実は子ども時代を過ごした彼の実家がこの場所から程近いランブラスにありました。
もともとこのあたりは彼にとって身近な地域だったのです。
彼はこの地に大きく立派な建物を建てることで、ラバル地区の悪い雰囲気を変えたいと思っていたのです。
この場所に立てるからこそ、みんなをあっと言わせるような邸宅を建てたい。
そのグエル氏の願いを受けて、縦18メートル横22メートルという限られたスペースにこの素晴らしい邸宅を実現したのがガウディなのです。
グエル邸の最大の見どころは屋上部分です。
カラフルなキノコのような形のオブジェが建物のてっぺんにいくつも生えています。
屋上の煙突は、ガウディが邸宅に抱いている概念を表現した一種の言語のようなものだといいます。
ガウディが設計する邸宅の中で、もっともガウディらしいデザインともいえるでしょう。
ガウディは、煙突という古くからある構造物をカラフルな魅力的なオブジェへと変えてしまいました。
合計20本の煙突はそのうち6つがベーシックなレンガ製、残りの14本は陶器やガラス、大理石、砂岩などで装飾されており、同じデザインものはありません。
縄がまかれた個性的なデザインの煙突や小さなトカゲの飾りが可愛らしい煙突などを見ることができます。
用途別に見ると、15本の煙突が暖炉用で5本がキッチンや馬のいる地下室の換気用でした。
実はこの邸宅は冬にはとても寒かったので、これほどたくさんの煙突を必要としたのです。
邸宅内にはいろいろなタイプの暖炉がありました。
伝統的なタイプからとても個性的なものまで、
装飾がシンプルなものから、飾り過ぎとさえ思えてしまうものも。
建物の下からは見えにくいですが、屋上の左側には避雷針が建っています。
黄色い煙突の向こう側、先端に黒い十字の飾りがついているのが避雷針です。
この避雷針は風見鶏の機能も持っています。
十字の下にはこうもりとタンバリンの飾りがあり、風によって向きを変えるのです。
その下には真鍮製のボールがあり、方位を示す16の先が鋭い突起がでています。
下からは小さく見えますが、このボールとこうもり、十字架などの飾り部分は長さが5メートル、重さ150キロもある大きなものです。
施設情報
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