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オルガン・コンサートも楽しめるマドレーヌ寺院の歴史と見どころ

パリきってのオルガン・コンサート・ホール

当代きっての建築家・彫刻家たちの技術の粋を集めた、建物そのものが芸術作品であるマドレーヌ教会。

モザイク、フレスコ画、規格外の石像で構成された内陣から外壁に収められた34体の聖人の像まで、1日かけて鑑賞するポイントでいっぱいです。

オルガンコンサートを目当てに訪れる旅行者も多いです。

ナポレオンの野望を形にした建物として80年の歳月をかけて完成したマドレーヌ寺院

カトリック教会の建物はたいていの場合、祭壇を中心として十字架の形になるように設計されています。

しかし、このマドレーヌ寺院は上から見たときには凹凸(おうとつ)の一切ないシンプルな長方形をしていることにまず驚くでしょう。

ぐるりと周囲を回ってもまっすぐな四辺で構成されていて、何も知らずに訪れた人の目にはギリシャ神殿そのものです。

しかし、最初からこのように設計されたわけではありません。

ルイ15世のもとで最初にそのミッションについた建築家はまったく新しい教会のためのアイディアを打ち出し、ラテン十字の形を基本に5つのドームが載ったパンテオン風の設計を行っていました。

ですが、その建築家自身はプロジェクト半ばで亡くなり、その後を引き継いだ建築家も同様に工事が進む前に亡くなってしまったのです。

さらに3代目の建築家へと引き継がれましたが工事が完成する前にフランス革命によって新しい教会建設プロジェクトの全てが中断。

次にこのプロジェクトを引き継いだのは、皇帝ナポレオン1世でした。エトワール凱旋門、カルーセル広場、ヴァンドーム広場の柱などフランス軍を讃えるための軍事建築物を作ることに余念のなかったナポレオン。

彼が建設半ばのマドレーヌ寺院プロジェクトに対して指示したのは、教会とはまったく目的の異なるフランス陸軍の栄光のシンボルを立てることでした。

戦没者を讃える、兵士たちのための戦争の寺院。

それは、ルイ14世の建てた「アンヴァリッド」への対抗心もありました。

ナポレオンのもとで新たに任命された建築家ピエール・アレクサンドル・ヴィニョンは、アテネのコリントスにある神殿に倣って新たな栄光の殿堂を設計します。

しかし、新古典主義によってデザインされたその建物が完成したのはナポレオンがすでに没落した後のことでした。

時はすでに1842年、ルイ15世が新たな教会建設のための最初の礎石を置いてから80年もの年月が過ぎていました。

結局、古典ギリシャ建築のラインを持つ新しい建物は本来の目的である、カルティエに住む人々のためのカトリック教会として新たなスタートを切ることとなります。

フィレンツェの天国の扉にインスパイアされたトリケッティの「十戒」

教会の中へ入る前に、扉のレリーフにも注目しておきましょう。

銅の扉の表には8つのレリーフが左右の扉に並べられています。

もともと工事の責任者であった当時の内務大臣はこの扉を発注する際に、ピサやローマの大聖堂に見られるような由緒あるブロンズの扉を思い描いていました。

そのオーダーを受けた彫刻家アンリ・ド・トリケッティがモデルとしたのはイタリア・フィレンツェにあるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂付属のサン・ジョヴァンニ洗礼堂でした。

ルネッサンスの巨匠ミケランジェロが「天国の扉」と賞賛したことでも知られる洗礼堂の扉は、旧約聖書のストーリーが10枚の黄金のレリーフで語られています。

彫刻家ギベルティが彫り上げた初期ルネッサンスの傑作にインスピレーションを受けたトリケッティは「十戒(じっかい)」をテーマに作品を作り上げました。

作品が完成したのはオーダーを受けてから7年後のこと。

長い時間をかけて完成した8枚のブロンズのレリーフは、寺院の入口にふさわしい威厳と美しさを併せ持ち、これによってトリケッティ自身も彫刻家として名を上げることとなったのです。

巨匠カヴァイエ・コル作の2台のオルガンで楽しめるオルガン・コンサート

マドレーヌ寺院には偉大なオルガン製作者であるカヴァイエ・コルのオルガンが2台、収められています。

ひとつは1843年に置かれた祭壇の後ろの小さなオルガン。

そしてもうひとつが建物上部のキャビネットに収められた大オルガンです。

1849年に教会に設置された当時は4段の鍵盤に音色や音程を選ぶストップは48個という非常に大きなものでした。

これはパリに現存する巨匠カヴァイエ・コルの製作したオルガンの中でも、サン・ドニ大聖堂とノートル・ダム・ド・ロレット教会に次いで3番目の大きさです。

そして、このオルガンがマドレーヌ寺院をパリでも特別なコンサートホールに変えました。

演奏者によって無限に表情を変える巨大な楽器は、ステンドグラスの窓もなく、複数のドーム型天井で作られた内部の音響によって完成されたといっても過言ではありません。

コンサート以外でも礼拝をリードする現役のオルガンは、世界的なの知られた音楽家や作曲家が歴代のオルガニストを務めてきました。

マドレーヌ寺院で初演が行われたフランスの作曲家ガブリエル・フォーレの「レクイエム」は、オーストリアのモーツァルト、イタリアのヴェルディと並んで「三大レクイエム」のひとつに数えられています。

マドレーヌ寺院では有料、無料のコンサートが毎週のように開かれていますので、教会の公式サイトでぜひ調べてみてください。

音楽のジャンルも教会音楽に限らず、室内楽や中国の伝統楽器・二胡とヴァイオリンのデュオなど幅広い内容があります。

施設情報

施設名 マドレーヌ寺院
エリア フランス > パリ
住所 Place de la Madeleine, 75008 Paris
営業時間 月曜-土曜は8:30-18:00
日曜は7:00-13:30、15:30-19:00
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