Pokkeと巡る旅 #03
1. 潜伏キリシタンとは何か?
世界文化遺産に登録された長崎の歴史を学ぶガイダンス
Pokkeと巡る旅とは、歴史、宗教、文化、建築、偉人、環境の6つの視点で世界を旅するツアーを紹介するものです。 知的好奇心を満たす新しい旅の形をお届けします。
6つのパートで潜伏キリシタンを巡る
今回の「Pokkeと巡る旅」では、「潜伏キリシタン」について長崎県エリアを巡ります。
6つのパートに分けて、潜伏キリシタンがどのような存在なのか、その劇的な歴史背景、ユニークな信仰の特徴など、潜伏キリシタンの魅力などに迫ります。
以下より6つのパートをそれぞれご紹介します。
1. 潜伏キリシタンとは何か
潜伏キリシタンとは、江戸時代の禁教下でもなお、キリスト教を信仰し続けた日本人のキリスト教徒のことです。
江戸時代の禁教によって宣教師と司祭が日本からいなくなりますが、潜伏キリシタンは政府の取り締まりによる迫害や拷問を受けながらも、仏教徒として身を隠して信仰を守り抜き、その子孫たちに受け継いでいきました。
なお、潜伏キリシタンのなかには「かくれキリシタン」も存在します。
「かくれキリシタン」は、禁教中に変化していった先祖代々から伝わる信仰の仕方を守り続けています。長崎県の地元民の間では「かくれ」や「ふるキリシタン」などと呼ばれています。
こうした潜伏キリシタンは2018年に関連する遺跡が世界文化遺産に登録されたこともあり、非常に注目を集めているのです。
2. 潜伏キリシタンの歴史
潜伏キリシタンの歴史は波瀾万丈です。
ザビエルによって日本に伝来したカトリック系のキリスト教は、豊臣秀吉と江戸幕府によって続けて禁教とされ、キリシタンはやむなく潜伏しなければならなくなります。
江戸時代の250年間、迫害を受けながらも身を潜めていた潜伏キリシタンは、日本が開国したことをきっかけに禁教を解かれ、信仰の自由を獲得します。
一際ドラマチックで有名な歴史的出来事は「信徒発見」です。
開国後、外国人用に建てられた教会で、15人の日本人がカトリックの信徒であることを司祭に告白します。
250年間、指導者のいなかった日本でカトリックのキリスト教が受け継がれてきた事実に、世界中が驚きました。
こうしたドラマチックな歴史が潜伏キリシタンを興味深いものに際立たせています。
Part1とPart2の2部構成となっており、記事は以下よりお読みいただけます。
3. 潜伏キリシタンが受けた弾圧
潜伏キリシタンの信徒発見が起こった背景には、キリシタンが潜伏せざるを得ない厳しい迫害と弾圧がありました。
1597年、豊臣秀吉が命じたことで生じた「日本二十六聖人の殉教」は、26人の司祭や宣教師が拷問を受け殉教します。
1637年には長崎の島原と熊本の天草で「島原・天草一揆」が起こります。天草四郎率いるキリシタンの農民たちは、江戸幕府軍によって殲滅されました。
江戸幕府は鎖国を行ってキリスト教の伝来を遮断し、国内ではキリシタンを迫害して仏教や神道へ改宗を迫りました。
江戸時代に入った1657年から明治に入る1868年までの期間には、潜伏キリシタンの潜伏地が発見され、改宗を迫られる「崩れ」と呼ばれる迫害が起きています。
たくさんの潜伏キリシタンが改宗を迫られ、拷問を受けました。
こうした迫害と弾圧の危険に晒されながらも、潜伏キリシタンは信仰を守りました。
記事は以下よりお読みいただけます。
4. 潜伏キリシタンのユニークな世界
潜伏キリシタンの信仰は司祭や宣教師がいない中で受け継がれていったため元のカトリックから離れた独自の信仰へと変化していきました。
潜伏キリシタンの独自の信仰の例として、仏像と聖母マリアが合体したマリア観音、カトリックを下敷きにしたグレゴリオ暦、聖具などが挙げられます。
特にオラショとよばれる祈りの歌は、元のラテン語の歌詞とかなりかけ離れており、その独特な神秘的雰囲気から、多くの音楽家が魅了されました。
現在もオラショはかくれキリシタンに受け継がれ、行事などで歌唱されています。
潜伏キリシタンのユニークな信仰もその魅力の一つです。
記事は以下よりお読みいただけます。
5. 潜伏キリシタンを深く知れる映画や本
潜伏キリシタンは物語のモチーフとなり、さまざまな映画や本、小説で描かれました。
小説で非常に有名な作品は1966年に発表された遠藤周作の『沈黙』です。
キリスト教信徒である遠藤周作が、歴史文書を元に、実際に長崎をロケーションハンティングして執筆しました。
内容は島原・天草一揆の直後の物語です。
日本の長崎にいるフェレイラ司祭が拷問に耐えかねて棄教をしたという知らせが入り、その弟子のガルペ司祭とロドリゴ司祭も長崎に向かいます。
ロドリゴとガルぺはキリシタン迫害を目の当たりにし、自らも捕らえられてしまいます。そして棄教を迫られ、十字架のキリストの絵を踏むように強要されます。
キリスト教迫害のなかにおける「神の沈黙」をテーマにした名作です。
『沈黙』は二度映画化されていますが、特に2016年にマーティン・スコセッシ監督の作品『沈黙 -サイレンス-』が話題になりました。
潜伏キリシタンは物語のテーマを掘り下げられる重要なモチーフの一つでもあるのです。
2部構成となっており、記事は以下よりお読みいただけます。
6. 潜伏キリシタンに触れるツアー
2018年、ユネスコは世界文化遺産として「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を登録しました。
日本では最も新しい文化遺産です。
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は12の資産で構成され、4段階の歴史に沿って区分されています。
元々は教会の建造物を中心に文化遺産登録をする予定でしたが、ユネスコの諮問機関であるイコモスの現地調査の結果「潜伏キリシタンに焦点を当てるべき」と指摘されたため、構成し直し、登録となりました。
イコモスも構成を練り直すよう指摘した潜伏キリシタンは、世界的にも注目され、歴史を知るツーリングが可能な世界的文化遺産として機能しています。
記事は以下よりお読みいただけます。
まとめ
潜伏キリシタンの歴史や面白さがご理解いただけたでしょうか。
潜伏キリシタンは禁教中の日本で幕府から隠れてキリスト教を信仰していた人々を指します。
潜伏キリシタンの歴史は波瀾万丈で、ドラマチックな出来事に溢れています。
潜伏キリシタンは厳しい迫害の危険に晒されながらも信仰を続け、ユニークな文化を形成しました。
さまざまな映画や本の物語のモチーフになり、世界文化遺産にも登録され、長崎を訪れる方も増えてきています。
次回からは潜伏キリシタンの歴史、迫害、信仰の文化、映画や本、ツアーなどをさらに深く掘り下げてご紹介します。
興味を抱きましたらぜひご覧ください。
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