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最後の晩餐の美術館はどこにある?サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の見どころ

食堂に描かれたダ・ヴィンチの名画

誰もが知っているダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。
実はこの名画が保管されているのは美術館ではありません。

イタリア、ミラノの世界遺産としても登録されている小さな教会、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の食堂の壁に制作以来ずっと飾られているのです。

「最後の晩餐」は現存することが奇跡~壮絶な歴史を辿った名画

「最後の晩餐」は壁画でよく見かけるフレスコ画ではなく、テンペラ画という技法を用いています。
壁画を描く場合は保存に優れたフレスコ画の技法を用いることが一般的です。

ところがフレスコ画は壁に漆喰を塗ってから乾ききるまでの8時間程度で完成させる必要があり、重ね塗りや書き直しができないのです。

ですが、レオナルド・ダ・ヴィンチは筆が遅いことで有名な画家。
8時間ではとても足りません。

さらにダ・ヴィンチは写実的な絵を描くためには重ね塗りが不可欠と考えていました。
代わりにダ・ヴィンチが採用したテンペラ画は卵、ニカワ、植物性油などを溶剤として顔料を溶く技法です。

フレスコ画と異なり時間の制約が無く、重ね塗りや書き直しも自在です。
その反面、テンペラ画は温度や湿度の変化に弱く壁画には向かないのです。

そしてこの場所は修道院の食堂です。
部屋にこもった食べ物の湿気や熱が、この絵を侵食する原因となりました。

それだけではありません。
17世紀には絵の下側、中央部分に出入り口用の扉を作ってしまいました。

当然、その部分は完全に失われてしまいます。
さらには17世紀末のナポレオンの時代には馬小屋として使用されました。

絵の保存環境としては最悪です。
そのうえ、ミラノは2度の大洪水に襲われており、壁画全体が水浸しとなったこともあります。

第二次世界大戦中の空爆では、食堂自体が破壊されました。
現在まで残っていることが奇跡的な名画なのです。

「最後の晩餐」はここを見よう

ダ・ヴィンチが描いた「最後の晩餐」は当時としては革新的な遠近法を駆使し、さらには人物の配置も計算され尽くされています。
この絵はヨハネによる福音書13章21節から、「12弟子の中の一人が私を裏切る」とイエス・キリストが予言したまさにその場面を描いています。

イエスの発言に対して使徒たちの間に生じた緊迫した雰囲気が生き生きと大迫力で描かれています。
この絵は細かい所を見る事で、よりその世界に入り込み、面白くなります。

様々な説がありますが、有力なものをご紹介しましょう。

まず、注目していただきたいのはイエスのすぐ右側の3人の人物です。
イエスの隣で反対方向に寄りかかっているヒゲのない人物、身を乗り出している白髪の老人、対照的に身を引いている黒髪黒ひげの人物。

右手にナイフを持っている白髪の老人はイエスの言葉に激しく反応し勢い良く立ち上がり、まるで「誰が裏切り者なのですか!?」と追及しているようです。

彼は十二使徒の統率者で使徒の中でイエスと最も親しくしていたペテロです。

そして、対照的にのけぞっている黒髪黒ひげの人物。
彼こそがイエスを支配層に引き渡すという裏切りを行ったイスカリオテのユダです。

イエスの発した言葉によって裏切りがバレている事に気づきました。
明らかに他の使徒達とは違ったリアクションをしています。

他の使徒は驚きや怒りの表情をしているのに対し、ユダは裏切りが発覚した恐怖をその表情に浮かべているのが感じられるでしょうか?

そして右手に握り締めている袋。
そうです。

この袋にはイエスの身を売り、受け取った銀貨30枚が入っています。

次にイエスのすぐ右側でイエスに寄りかかっている弟子に注目してください。
通説ではイエスが最も愛した弟子であるヨハネとされています。

ヨハネ福音書にしたがえば、弟子が全員男性であったとは書いておらず、出席者のリストもありません。
ヨハネの福音書では最後の晩餐の場面で、「イエスの胸元には一人の弟子が寄りかかっていた。イエスはこの弟子を愛されていた。」と書かれています。

そういうわけでイエスの愛する弟子は最後の晩餐ではイエスの隣でイエスの胸もとで眠っている姿で描かれることが多いのです。

また、この人物に髭は無く、若者か女性的な容姿で描くのを通例としています。
ダ・ヴィンチもおおむねこれに従っています。

そのため、映画ダヴィンチ・コードで語られたようにこの人物が「マグダラのマリア」である可能性も残されているのです。

「マグダラのマリア」とはキリストの妻であり、キリストの子を身篭っているとされる人物です。 この人物が実在すれば「ダヴィンチ・コード」で描かれたようにイエスに子孫が居る事になります。

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