世界遺産サン・マルコ寺院の歴史と見どころ
豚肉の中に隠されて運び出された聖遺物
サン・マルコ寺院は、守護聖人マルコに捧げられたヴェネツィアで最も有名な大聖堂です。
832年に建立され、その後1度焼失していますが、幾度もの改修を経て17世紀には現在の姿になったと言われています。
建物内は黄金にきらめく壁や天井と、祭壇には2,000個もの眩い宝石が埋め込まれた黄金の衝立があります。
中世、ヨーロッパ各地の町では有名な聖人の聖遺物を見つけ出し、町の守護聖人とすることで町の格を上げるということが流行っていたそうです。
そして、ビザンツ帝国の勢力下にあったヴェネツィアも帝国からの独立を目指すために守護聖人を戴くための聖遺物を探していたのです。
828年、エジプトのアレキサンドリアで殉教しその地に埋葬されていた聖マルコの遺骸をひそかに買収、運び出し、ヴェネツィアに移されました。
当時アレキサンドリアはイスラム圏だったため、彼らの目をごまかすために聖マルコの遺体はムスリムが忌み嫌う豚肉の中に隠されて運び出されたといいます。
聖マルコの遺体はこれ以上無いくらいの極上の聖遺物でしたので、熱狂をもってヴェネツィア市民に迎えられました。
そして、すぐさまそれをお祀りするための大聖堂が建立されました。
これがサン・マルコ寺院であり、同時に聖マルコはヴェネツィアの守護聖人となったのです。
色大理石と彫刻で豪華に飾り付けられたファサード。
はじめにサン・マルコ寺院建設の由来をお話ししましたが、この外観のカーブのついた半円蓋の中のモザイクには、聖人マルコの遺体を運んだ際のエピソードにまつわる場面が描かれています。
正面に向かって一番右側のモザイクから見ていくと、まずは「アレッサンドリアから運ばれる聖マルコの遺体」がご覧いただけます。
次は「聖マルコ遺体のヴェネツィア到着」を描いたものです。
その次は「ヴェネツィア総督および市民の聖マルコ遺体歓迎」が描かれています。
正面に向かって一番左側のモザイクは、「行列で大聖堂内へ運ばれる聖マルコの棺」です。
クーポラつきの大きな建物の前に、豪華に着飾った人々がたくさん集まっている様子が、描かれていますね。
真ん中に掲げられている棺の中にいるのは、運ばれた聖マルコです。
聖マルコの遺骸を掲げ、大聖堂前を行列している場面です。
そして背後に見えているのは、この聖堂そのものです。
中央のアーチの中のモザイクは、19世紀に入って作りなおされました。
テーマは「栄光のキリストと最後の審判」です。
このモザイクのみ、聖マルコのエピソードから離れます。
しかしその上を見上げると、もともとは聖マルコのシンボルで、やがてヴェネツィアのシンボルとなった有翼のライオンがご覧いただけます。
そしてその上、先の尖ったアーチの頂上には、やはり聖マルコの彫像が君臨しています。
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