世界最大の油絵が飾られているドゥカーレ宮殿の見どころ
かつてのヴェネツィア共和国時代の総督の住居兼最高司法府
ドゥカーレ宮殿はヴェネツィア共和国を治めていた総督の居城でした。
元老院や十人委員会、評議会など、ヴェネツィアの国政を司る人々が集まり、討議を重ねる場所です。
また、外国からの使者と謁見する華やかな部屋もあれば、政治犯を収監する牢獄まであったのです。
首相官邸と国会議事堂、迎賓館、そして刑務所、そのすべてが同居した場所だったのです。
ドゥカーレ宮殿の見どころは大きく10スポット。それぞれ、ご紹介します。
1.中庭
宮殿の中心に大きな中庭があり、それをぐるりと建物が取り囲むようになっています。
中庭の南側はジュデッカ運河、西側はサン・マルコ小広場に面しています。
北側はサン・マルコ大聖堂に隣接していて、中庭から見ると、背後にはお隣のサン・マルコ大聖堂の丸いドームが見えます。
外観の美しさもさながら、中庭も栄光の象徴として華やかに装飾されています。
中庭にある鋳物の井戸は青銅で造られた16世紀のものです。
2.黄金の階段
このドゥカーレ宮殿で見落としてはならないのが、黄金の階段と呼ばれる階段です。
中庭奥に配された大きな階段こそ、その黄金の階段です。
24金の金箔と漆喰、フレスコ画に飾られた階段は、まさにその名にふさわしい黄金の階段なのですね。
16世紀中頃、ヴェネツィア共和国の芸術家を総動員して作られたと言われています。
3. 四角の広間
黄金の階段を上ってまずあるのが、四角の広間です。
サンソヴィーノの神ネプチューン像と、戦いの神マルスの像が展示されています。
当時は控室としての役目を果たしていました。
天井には、公正と平和の寓話を示唆するジローラモ・プリウリ総督の肖像画が、ティントレットによって描かれています。
4. 4つの扉の間
この部屋は、この宮殿のさらに重要な部屋へ入るための正式な控室でした。
この部屋の名でもある4つの扉は、高価なオリエンタルの大理石で装飾されています。
壁の絵画でひときわ目を引くのは、ヴェネツィア派の代表的な画家ティツィアーノ作、信頼に対して祈りを捧げる、アントニオ・グリマーニ総督の肖像です。
5. 謁見控えの間
ヴェネツィアの総督が、各国の大使たちと公式に接見していた場所です。
この部屋にも、やはりヴェネツィア派を代表する画家ティントレットの作品や、ヴェロネーゼの作品「エウロペの略奪」があります。
6. 元老院の間
この部屋は、総督と6人の評議員で構成された治安裁判所が会見していました。
様々なテーマで描かれた絵画の背景には、ヴェネツィアの観光名所が描かれています。
ドゥカーレ宮殿も描かれています。
さらにお隣のサン・マルコ聖堂やゴンドラも描きこまれています。
7. 十人委員会の間
十人委員会は、もともとは元老院の中でも力のあるものが選ばれ、外交問題など緊急性のある議題などを決定するための臨時の場でした。
しかしそれが常態化し、やがて国家機密などを扱い、強い力を持つようになったのです。
のちに十人委員会が実質的に国政を動かすようになります。
8. 羅針盤の間
この部屋の名は、部屋の角に置かれてある、大きな木製の羅針盤に由来します。
この木製羅針盤は、十人委員会の長官、そして州調査官の部屋の入口を隠しています。
そのため、この部屋は長官へ呼び出される人のための控えの部屋として使用されていました。
9. ライオンの口
羅針盤の間を出た扉の脇にも、中庭と同じようにライオンの口があります。
市民からの投書を受け付けるものでした。
郵便ポストのように、外から来た人が、この口に手紙を入れられるようになっているのです。
陳情や密告などが行われていたのでしょうか。
10. 大評議の間と世界最大の油絵『天国』
ここには2,000名近くの評議員が集まっていたと言われています。
直径54メートルという広さです。
ヨーロッパでも最大級と言われています。
議会がある時には、この大評議の間に集まり、ここで審議し、法制化していました。
そして、この部屋に飾られているのが世界最大の油絵『天国』です。
大評議の間には、ヴェネツィアを讃える大きな絵画が、いくつも並んでいます。
多くはヴェネツィアの戦いの勝利を描いたものです。
よく絵をご覧いただくと、当時の人々の服装や戦いの様子が見えてきます。
その中でも正面の絵画、ティントレット作の『天国』は、世界で一番大きな油絵といわれています。
ティントレットはこのフレスコ画に8年の月日をかけ、さらにティントレットの息子ドメニコや工房の手が入り、完成に至ったとされています。
また、この絵画はイタリアを代表する作家ダンテの「神曲」から着想を得たとも言われています。
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