行く前に事前チェック!アカデミア美術館の見どころ作品
「ミケランジェロの美術館」でダヴィデ鑑賞
フィレンツェの街でウフィツィ美術館に並ぶ人気を誇るアカデミア美術館。
毎日世界中からミケランジェロの傑作ダヴィデを見に来る人たちで溢れています。
西洋美術界で最も有名な彫刻像の一つであるダヴィデ像は、ルネッサンスの巨匠の偉大なる伝説を今日まで伝える作品として知られています。
7点という世界最多のミケランジェロ作品を所蔵する「ミケランジェロの美術館」としてのイメージが定着しています。
この記事では、実際に訪れる前に知っておきたいアカデミア美術館の見どころ作品をご紹介しましょう。
アカデミア美術館の最大の見どころは何といってもミケランジェロの「ダヴィデ像」です。
ダヴィデ像は「若き天才ミケランジェロ」の名声を不動のものとしました。
作品の制作が始まったのは15世紀初頭。
大聖堂に飾る12体の彫像の一つとして制作が依頼されました。
テーマは旧約聖書のなかで巨人ゴリアテを倒した英雄ダヴィデ。
実はこのとき、最初にダヴィデの制作依頼を受けたのはミケランジェロではなく、別の芸術家でした。
しかし、ダヴィデ像の制作は難航します。
何度か契約が破棄された後、未完成のまま25年も大聖堂に放置されることになりました。
そして西暦1501年、再び計画が持ち上がり、26歳の若きミケランジェロに委託される事となります。
そしてミケランジェロは、3年の歳月をかけてこのダヴィデ像を完成させました。
そのあまりの出来栄えからヴェッキオ宮殿の正面入口脇に設置されることになりました。
それまでの芸術家たちが制作してきた幼さを見せる少年ダヴィデ像とは異なり、ミケランジェロのダヴィデは目つきの鋭い精悍な青年像になっています。
当時から、屋外に配置する事で大理石の損傷が懸念されていましたが、1873年にようやくここアカデミア美術館に移動されることになりました。
高さ5.17メートルにも及ぶこの巨大なダヴィデ像は正面に立って下から見上げたときにはじめて完璧な姿として見えるよう設計されています。
均整のとれた筋肉質な肉体に大きめに作られた頭と手や足は若々しさと力強い印象を与えます。
この輝くばかりの美しい英雄ダヴィデは後にフィレンツェ市民の誇りとして語り継がれていくことになります。
アカデミア美術館には、ミケランジェロが残した未完の彫像「パレストリーナのピエタ」も展示されています。
「ピエタ」とは、キリスト教の聖母子像の中でも、磔刑に処され死にゆくキリストを抱く悲しみにくれる聖母マリアをモチーフにした彫刻を指します。
ミケランジェロはその生涯で4つのピエタを制作しており、彼にとってのライフワークのようなものです。
ここのピエタ以外には「サン・ピエトロのピエタ」、「フィレンツェのピエタ」、「ロンダニーニのピエタ」がありますが、4つのピエタの中で完成しているのはサン・ピエトロ大聖堂にある「サン・ピエトロのピエタ」のみです。
アカデミア美術館に保管されているピエタは、「パレストリーナのピエタ」。
ミケランジェロが80歳でとりかかったものです。
1939年にアカデミア美術館に所蔵されるまでは、パレストリーナのサンタ・ロザリア聖堂内に放置されていたためにこの名前が付きました。
未完成で細部を仕上げていないせいでもありますが、26歳のときの作品であるダヴィデ像と比べるとミケランジェロにしては力強さに欠けるかもしれません。
しかし、マリアのどこか放心したようなうつろな表情に、息子を喪った母親の深い悲しみが読み取れるのではないでしょうか。
アカデミア美術館内に所蔵されている作品を簡単にご紹介します。
美術館内はダヴィデ像を含め7体のミケランジェロの作品、1300年代のゴシック期の作品、1400年代ルネッサンス期の作品、1500年代のマニエリズムの作品、ロシアイコンのコレクションや古楽器コレクションなどが展示されています。
ダヴィデ像など主だった彫刻作品は1階に展示されており、2階には14世紀から15世紀前半期に描かれた絵画や、かつて祭壇に飾られていた豪華な織物作品、メディチ家の楽器などのコレクションが収蔵されています。
絵画作品では、ボッティチェリ作ともフィリピーノ・リッピ作とも言われる「海の聖母」が有名です。
そのほかにもフィリッピーノ・リッピの「十字架降架」等の見応えのある作品が数多く展示されています。
彫刻はミケランジェロの「ダヴィデ像」、「パレストリーナのピエタ」以外にも、ジャンボローニャ「サビニの女たちの略奪」などはインパクトもあり必見です。
また、メディチ家の楽器についても少しふれましょう。
あまり知られていませんが、楽器の中で最もポピュラーなピアノは1700年代初めにフィレンツェの弦楽器職人でメディチ家に仕えていたバルトロメオ・クリストーフォリによって発明されました。
この美術館には彼が発明したオーヴァル・スピネットというピアノの前段階にあたる楽器が保管されているのです。
バロック時代の鍵盤楽器はチェンバロですが、これに改良を加え、弦を弾いて音を出すのでなく弦を叩いて音を出すようにしたことで世界で初めてピアノがフィレンツェで誕生しました。
アカデミア美術館にはダヴィデ像以外の見どころも多いので、時間に余裕があれば内部をじっくり見ておきたいところです。
施設情報
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