フィレンツェの街のアルノ川にかかる最も古い橋『ヴェッキオ橋』 - イタリア・フィレンツェ
フィレンツェに豊かな水を運び、産業発展をもたらしたアルノ川にかかる最も古い橋が、ヴェッキオ橋です。オペラの巨匠プッチーニの名曲など、様々なドラマチックなシーンに登場することでも有名です。
ヴェッキオ橋の歴史とヴァザーリの回廊
フィレンツェに豊かな水を運び、産業発展をもたらしたアルノ川、古の時代にこの川の周りにいつしか人が住むようになりフィレンツェの街が生まれました。対岸に渡るために作られた橋の歴史はフィレンツェの街の歴史と重なります。
ヴェッキオ橋が架かる位置はアルノ川の川幅が最も狭くなる所で、フィレンツェ市民は常にこの場所に橋を建設していました。アルノ川の氾濫により幾度となく橋は流され、1345年に流される事のない頑丈な現在のヴェッキオ橋が建設されることになります。
つまり、「ヴェッキオ」という言葉はイタリア語で「古い」という意味です。「古い橋」という意味のヴェッキオ橋は、実際にアルノ川に架かるフィレンツェの橋の中で最も古い歴史を持つ橋になります。
また、現地に行った際には、ヴェッキオ橋の東側に並ぶ宝飾店の上を見上げて下さい。お店の上を廊下が通っているのが見えます。これがヴェッキオ宮殿からピッティ宮殿まで伸びるヴァザーリの回廊です。
1565年に建築家ジョルジョ・ヴァザーリは、大公一家が住んでいたピッティ宮殿から通勤先であったウフィツィの事務所やヴェッキオ宮殿まで毎日安全に通勤出来るように約1キロメートルに及ぶ空中廊下をわずか五ヶ月で作り上げました。廊下は建築家の名前を付けて「ヴァザーリの廊下」と名付けられています。
ヴェッキオ橋が第二次世界大戦で唯一破壊を免れた理由
第二次世界対戦の被害をほとんど受けていない様に見えるフィレンツェでも、1944年8月にヴェッキオ橋以外の橋は全てフィレンツェを占領していたドイツ軍の爆破によって破壊されました。
ヴェッキオ橋だけが爆破されなかった理由には、戦時中フィレンツェに滞在していたドイツ大使ゲラルド・ ヴォルフがフィレンツェの街を愛していて、歴史あるヴェッキオ橋だけは爆破しないで欲しいという嘆願したのが聞き入れられた為だとも言われています。
詳しくは、ヴェッキオ橋のガイドを聴こう
アルノ川の水害や、戦時中にも壊される事なく残ったヴェッキオ橋、フィレンツェ市民が愛し利用し続けているこの橋を、橋の真ん中から、ミケランジェロ広場から、夕暮れ時のアルノ川沿いの散歩中になど色々な角度で眺めて見てはいかがでしょうか。ぜひ足を運んで、ガイドを聴きながら、ヴェッキオ橋をお楽しみください。